スチュワート・コープランド

スチュワート・コープランド：音楽の冒険家

スチュワート・アームストロング・コープランド（Stewart Armstrong Copeland）は、1952年7月16日生まれのアメリカ合衆国のミュージシャンであり、ドラマー、作曲家として多岐にわたる活動を続けています。彼は、伝説的なロックバンド、ポリス（The Police）の創立メンバーとして最もよく知られていますが、ポリスの活動停止後も、様々なバンドでの演奏や、映画音楽、オペラ、バレエ音楽の作曲など、ジャンルを超えた幅広い音楽活動を展開しています。

生い立ちと音楽への目覚め

コープランドは、バージニア州アレクサンドリアで生まれました。父はミュージシャンであり、CIAのエージェントでもあったマイルス・コープランドJr。幼少期をエジプトのカイロやレバノンのベイルートなど中東で過ごし、12歳でドラムを始めました。その後、イギリスの学校で学び、ロンドンでドラムを本格的に学びました。

カーヴド・エアからポリスへ

1975年、コープランドはプログレッシブ・ロックバンド、カーヴド・エアに加入。2枚のアルバム制作に関わりました。1976年、ジャズ・フュージョンバンドで活動していたスティングの才能に惚れ込み、度重なる説得の末、1977年にスティング、ヘンリー・パドゥヴァーニと共にポリスを結成しました。その後、アンディ・サマーズが加入し、ポリスはパンク、レゲエ、プログレッシブ・ロックなどの要素を融合させた独自の音楽性を確立し、1980年代を代表するバンドの一つとなりました。

ポリス時代、コープランドは手数が多いながらも、楽曲に彩りを与え、歌を引き立てる独自のドラムスタイルで注目を集めました。レゲエの影響を受けた革新的なドラムスタイルは、多くのドラマーに影響を与えました。

ポリスは1984年に活動を停止しましたが、2007年に再結成し、ワールドツアーを成功させました。

ソロ活動と多岐にわたるコラボレーション

ポリス在籍中から、クラーク・ケント（Klark Kent）という変名でソロ活動も行なっていました。1985年には、アフリカへの旅をテーマにしたソロ・アルバムを発表。その後も、スタンリー・クラークやデボラ・ホーランドとのトリオ、アニマル・ロジック（Animal Logic）を結成するなど、様々なアーティストとのコラボレーションを積極的に行いました。近年では、インド出身の作曲家リッキー・ケジとの共作アルバムでグラミー賞を受賞しています。

作曲家としての才能

1980年代からは、映画音楽の作曲家としても活動を開始。フランシス・フォード・コッポラ監督の『ランブルフィッシュ』の音楽を担当し、ゴールデングローブ賞にノミネートされました。その後、『ウォール街』、『スパイロ・ザ・ドラゴン』など、数多くの映画、テレビ番組、ビデオゲームのサウンドトラックを手がけています。

さらに、バレエ音楽やオペラの作曲にも挑戦。サンフランシスコ・バレエ団のために『リア王』を作曲するなど、幅広いジャンルで才能を発揮しています。

独自のドラムスタイルと愛用機材

コープランドのドラムスタイルは、精密かつエネルギッシュで、レゲエに影響を受けた革新的なものです。硬くてハイピッチにチューニングされたスネアドラムと、手数の多いハイハットワークが特徴的です。TAMAのドラムとパイステのシンバルを長年愛用しており、近年では、スチュワート・コープランドモデルのライドシンバルも発売されています。

スチュワート・コープランドの音楽的遺産

スチュワート・コープランドは、ポリスのドラマーとしてだけでなく、ソロアーティスト、作曲家として、常に新しい音楽の可能性を追求し続けています。彼の音楽は、ジャンルを超えて多くの人々に影響を与え、刺激を与え続けています。彼の音楽的な冒険は、これからも続いていくことでしょう。

ディスコグラフィ（一部）

ポリス：『アウトランドス・ダムール』、『白いレガッタ』、『ゼニヤッタ・モンダッタ』、『シンクロニシティー』
クラーク・ケント：『Klark Kent: Music Madness from the Kinetic Kid』
スチュワート・コープランド：『The Rhythmatist』
アニマル・ロジック：『Animal Logic』
オイスターヘッド：『The Grand Pecking Order』
ギズモドローム: 『Gizmodrome』
スチュワート・コープランド & リッキー・ケジ: 『Divine Tides』

フィルモグラフィ（一部）

ランブルフィッシュ（作曲）
ウォール街（作曲）
スパイロ・ザ・ドラゴン（作曲）

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