孤独のメッセージ

孤独のメッセージ (Message in a Bottle)

ポリスの楽曲「孤独のメッセージ」（原題：Message in a Bottle）は、1979年にリリースされたバンドのセカンドアルバム『白いレガッタ』に先駆けてシングルとして発表された作品です。この曲は、彼らにとってキャリア初となる全英シングルチャート1位をもたらし、その後の世界的成功への重要な足がかりとなりました。

楽曲の背景

デビューアルバム『アウトランドス・ダムール』から生まれたシングル「ロクサーヌ」や「キャント・スタンド・ルージング・ユー」がヒットを記録し、ポリスはその存在感を強めていました。この成功を受け、レコード会社であるA&Mレコードはバンドに次なるアルバム制作の機会を与えます。そうして生まれた『白いレガッタ』の中に、「孤独のメッセージ」は収録されることとなりました。

歌詞とテーマ

楽曲の歌詞は、表面上は孤島に取り残された一人の遭難者が、助けを求めるメッセージをボトルに入れ、海に流すという物語を描いています。しかし、そのボトルが長い旅を経てたどり着いた海岸で、遭難者は信じられない光景を目にします。そこには、自分と同じように助けを求める、無数のボトルメールが打ち上げられていたのです。

この一見奇妙な展開について、作詞・作曲を手がけたバンドのリーダー、スティングは、歌に込められた真意を説明しています。彼によれば、この曲は「人間は誰しも孤独であり、疎外感を抱いている」という普遍的なテーマを表現しているといいます。自分が抱える孤独をメッセージとして外に発信することで、同じように孤独を感じている他者からの共鳴、「自分も孤独である」という返信が返ってくる。この歌は、そうした孤独を通じた人間の繋がりの可能性を示唆しているとも解釈できます。

商業的な成果と評価

「孤独のメッセージ」は、ポリスにとって母国イギリスで初のナンバーワンヒットとなる歴史的な成功を収めました。これはバンドの人気を決定的なものとしました。一方、アメリカ合衆国では、ビルボードホット100チャートで最高74位と、イギリスほどの大きな商業的インパクトはありませんでしたが、バンドの知名度を広げる一助となりました。

音楽評論家からの評価も高く、特にギターサウンドが印象的なこの曲は、アメリカの音楽雑誌『ローリング・ストーン』が選んだ『オールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100』において、65位にランクインしています。これは、アンディー・サマーズによる特徴的なギターリフが、楽曲の重要な要素として広く認められていることを示しています。

ライブでの演奏

この楽曲は、リリース以降、ポリスのライブパフォーマンスにおいて欠かせない定番曲となりました。公式ライブアルバム『ポリス・ライヴ』には、異なる年代の演奏が収録されており、その人気ぶりがうかがえます。ディスク1には1979年11月にボストンで行われた初期のライブテイクが、ディスク2には1983年11月にアトランタで行われた円熟期のテイクが収められており、ライブにおける楽曲の進化を感じることができます。

シングル情報

オリジナルの7インチシングル（A&M / AMS 7474）には、A面に「孤独のメッセージ」（演奏時間 3:50）、B面には「ランドロード」（演奏時間 3:09）がカップリング曲として収録されました。

クレジット

この楽曲の録音に参加したメンバーは以下の通りです。

スティング：ベースギター、フレットレスベース、アップライトベース、リード・ボーカル、バッキング・ボーカル
アンディー・サマーズ：リードギター、バッキング・ボーカル
* スチュワート・コープランド：ドラムス、パーカッション、バッキング・ボーカル

「孤独のメッセージ」は、その独創的なサウンドプロダクションと、人間の内面を深く見つめた歌詞によって、ポリスの代表曲としてだけでなく、ロック史における重要な一曲として、今なお多くの人々に聴き継がれています。

もう一度検索