白い奇蹟

聖飢魔IIの8枚目のシングル「白い奇蹟」は、1989年8月2日にリリースされ、彼らの音楽史に新たな1ページを刻むこととなりました。この曲は、それまでの聖飢魔IIの楽曲とは一線を画す、静謐で美しいバラードです。

それまでの聖飢魔IIの楽曲は、ヘヴィメタルサウンドと悪魔をモチーフとした歌詞が特徴的でした。しかし「白い奇蹟」においては、初めてバラードに挑戦し、メジャーキーで作曲されたことにより、これまでとは異なる、優しくも力強い聖飢魔IIの世界観が表現されています。歌詞にも大きな変化が見られ、初期作品に見られた悪魔的な描写や暴力的な表現は一切排除され、聴く者の心に深く響く、普遍的なテーマが歌われています。

この曲は、聖飢魔IIにとって大きな転換点となりました。1989年、この「白い奇蹟」を携え、彼らは第40回NHK紅白歌合戦に初出場を果たします。これは、ヘヴィメタルバンドとして紅白の舞台に立つという快挙であり、聖飢魔IIの名を世に広く知らしめる大きな契機となりました。

紅白出場以外にも、「白い奇蹟」は様々なメディアで取り上げられました。音楽番組『歌のトップテン』に出演した際には、司会の和田アキ子氏と島田紳助氏から、白を基調とした衣装についてなど、様々な角度からツッコミを入れられ、そのユニークなパフォーマンスは大きな話題を呼びました。また、ニッポン放送のラジオ番組『デーモン小暮のオールナイトニッポン』では、1989年末から1990年3月まで、エンディングテーマとして使用され、多くのリスナーに親しまれました。

楽曲の構成は、デーモン小暮による作詞、聖飢魔IIによる編曲、エース清水による作曲という布陣です。そしてもう一曲、カップリング曲として「怪力熊男」が収録されています。こちらはSgt.ルーク篁III世が作曲を担当しました。これらの楽曲は、聖飢魔IIのベストアルバム『WORST』にも収録されており、彼らの代表曲として、現在も高い人気を誇っています。

「白い奇蹟」は、単なる楽曲にとどまらず、聖飢魔IIというバンドの新たな可能性を示した、象徴的な作品と言えるでしょう。ヘヴィメタルという枠にとらわれず、バラードという新たなジャンルに挑戦し、その高い音楽性を証明しました。そして、紅白歌合戦出場という快挙や、様々なメディアへの露出を通じて、世間に大きなインパクトを与え、聖飢魔IIの知名度を飛躍的に向上させたのです。この曲は、彼らの音楽史において、重要なマイルストーンとして記憶されています。

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