白保竿根田原洞穴遺跡

白保竿根田原洞穴遺跡について

白保竿根田原洞穴遺跡（しらほさおねたばるどうけついせき）は、沖縄県石垣市に位置する、旧石器時代から16世紀にかけての重要な遺跡です。この遺跡は、全身の骨格がほぼ残る状態の人骨としては国内最古となる約2万7千年前のもので、また日本初の旧石器時代の墓域も発見されました。国の史跡にも指定され、その重要性が認められています。

遺跡の位置と背景

白保竿根田原洞穴遺跡は、石垣市の東部、白保から盛山の間に位置しています。海岸から約800メートル内陸にあり、標高30から40メートルの場所にあります。この遺跡は、石垣空港の敷地内にあり、2007年にNPO法人沖縄鍾乳洞協会によって行われた調査により発見されました。調査の結果、頭、脚、腕などの人骨が9点発見されたほか、以降の調査で1,000点以上の人骨片が出土するという意義深い結果となりました。

調査の進展と結果

2007年の調査では、良好な状態で発見された6つの人骨について、放射性炭素年代測定が実施されました。この結果、2010年に20代から30代の男性の頭骨片が約2万年前のものであることが明らかとなり、さらには他の2点も約1万8千年前と約1万5千年前のものだと確認されました。

続く調査によって、国立科学博物館は人骨のミトコンドリアDNA分析を行い、国内最古の人骨とされる4点のうち2点が南方系のDNAタイプであるハプログループM7aに属することを突き止めました。このことは、白保竿根田原の人骨がどのような人々に関連しているのかを知る手がかりとなります。

また、2012年から2016年度にかけて行われた調査では19体分の人骨が発見され、これが旧石器時代の人骨発掘としては世界的にも非常に大規模なものとなりました。特に、発見された「4号人骨」は約2万7千年前のもので、全身骨格がほぼ残っている国内最古の人骨として注目を集めています。

この人骨の特徴として、30代から40歳の男性で身長165.2cmと、かつて確認された港川人よりも高いことが挙げられます。また、顎の歯の摩耗から特殊な歯の使い方をしていた可能性も指摘されています。その安置状態から、人為的に埋葬された可能性や、風葬の習慣があったという見解も浮上しています。これにより、白保竿根田原洞穴遺跡が日本における旧石器時代の墓域として初めて確認された意義が高まります。

名称について

遺跡名の「竿根田原」は、沖縄県立埋蔵文化財センターの公式発表に基づけば「さおねたばる」と読まれています。一方で、白保地域では「そねたばる」とも呼ばれることがあり、この点については石垣市議会でも議論された経緯があります。竿根田原は白保という地域の小字名であり、その方言的な発音は「ソンタパリ」とも言われています。このように、白保竿根田原洞穴遺跡は考古学的にも言語文化的にも重要な資源であり、今後もさらなる研究が期待されています。

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