白兎神社

白兎神社

白兎神社は、鳥取県鳥取市に位置する神社です。主祭神は、古事記にも登場する因幡の白兎を神格化した白兔神で、保食神も祀られています。

ご利益

白兔神は、その神話から皮膚病に霊験あらたかとされ、病気平癒を願う人々から信仰を集めています。また、大国主神と八上比売の縁を取り持ったとされることから、縁結びの神としても知られています。特定の人との縁を深めたい、あるいはかなわぬ恋を成就させたいと願う人々が、多く訪れます。遠方からの参拝者には、無事に故郷へ帰れるようにとのご利益もあるとされています。さらに、医療の神としての側面も持ち合わせています。

2010年には、日本初のラブストーリー発祥の地である「白兎」として、「恋人の聖地」に認定されました。

歴史

創建の年代は不詳ですが、かつては兎の宮、大兎大明神、白兔大明神などと呼ばれていました。戦乱で社殿が消失しましたが、慶長年間に鹿野城主であった亀井茲矩によって再興されました。焼失後、白兎神の御神体は、現在の白兎神社の南方10kmに位置する松上神社に一時的に遷座されていました。現在の本殿は明治時代に再建されたものです。

鎮座地は、因幡の白兎が身を乾かしたとされる身干山という丘です。境内には、白兎が体を洗ったとされる御身洗池があり、旱魃や豪雨の際にも水位が変わらない「不増不減の池」として知られています。本殿の土台には28弁の菊の紋章が彫刻された菊座石が使われており、創建に皇室が関わっていた可能性も指摘されています。神社の近くには、白兎が体を洗ったとされる池ガマや、白兎海岸が広がっています。

白兎海岸の西側には、白兎神社に合祀されている白兎川下神社があり、沖には白兎がいたとされる淤岐島があります。淤岐島には鳥居が建てられ、8月1日には神燈を流す祭礼が行われます。

白兎神社の鳥居横には、「道の駅 神話の里 白うさぎ」があり、観光客で賑わっています。

内陸部の白兎神社

1999年（平成11年）に、石破洋元島根県立女子短期大学教授の研究発表、翌年の『イナバノシロウサギの総合研究』発刊により、八上の白兎と天照大神伝承、瀬織津姫祭祀、そして白兎神社が注目を集めるようになりました。現在、地元では、この白兎伝承を顕彰化する様々な動きが活発になっています。

かつて八上郡の中心地であった山間の八頭町には、3つの白兎神社がありました。その地には、天照大神が行幸の際、白兎が現れて天照大神に行宮にふさわしい場所として現在の霊石山にある伊勢ヶ平まで案内したという伝承が残っています。この伝承は、地元の青龍寺や慈住寺の記録にも記されています。

八頭町の3つの白兎神社は、大正時代に強制的な合祀により、同町宮谷の賀茂神社に合祀され、形式上は廃社となっています。福本にあった白兎神社は、現在鳥居と額、神木と小祠があるのみですが、元の本殿は青龍寺の本堂厨子として再利用されており、本殿正面の蟇股には、波に乗る兎の彫刻が施されています。「波に兎」の装飾は、因幡の各地に散在しており、最近の調査によって八頭郡に相当数残存していることが判明しつつあります。天照大神はしばらく八上に滞在し、伊勢ヶ平近くの御冠石で因幡の国見をし、その石の上に冠を置かれたと言われています。この伝承には続きがあり、八頭町の隣、兵庫県境に近い若桜町舂米には天照大神の行幸伝承とともに、天照大神の御製といわれる和歌が伝わっています。かつての国境、現在の鳥取・兵庫県境、氷ノ越えには因幡堂があり、そこには大兎大明神が祀られ、八頭町福本、池田、土師百井など、鳥取市内海の白兎神社の祭神と同一の神であるとされています。現在因幡堂は但馬側（新温泉町）に移転され、その形状は現在では不明となっています。

白兎神社は、神話の世界と歴史が交錯する、魅力あふれる神社です。

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