白団

白団（ぱいだん、ばいだん）

白団は、中華民国の蔣介石総統の要請により、中華民国国軍を秘密裏に支援した、旧日本軍将校を中心とする軍事顧問団です。1949年から1969年までの間、団長である富田直亮（陸軍少将、中国名：白鴻亮）以下、総勢83名の団員が活動しました。

結成の背景

第二次世界大戦後、中国では国共内戦が再燃し、蔣介石率いる国民党軍は共産党軍に対して劣勢に立たされていました。1949年10月1日、共産党による中華人民共和国が成立し、蔣介石は台湾へ撤退を余儀なくされます。台湾に拠点を移した中華民国政府は、人民解放軍の侵攻に備える必要がありました。

そのような状況下で、蔣介石は旧日本軍の軍事知識や経験に着目し、軍事顧問団の派遣を要請しました。これに応じたのが、岡村寧次や富田直亮といった旧日本軍の将校たちであり、彼らは秘密裏に台湾へ渡り、白団を結成しました。白団は、国民党軍の再建と防衛体制の強化に尽力することになります。

活動内容

白団は、主に以下の活動を行いました。

軍事教育： 円山軍官訓練団や石牌実践学社などで、国民党軍の将校に対して、戦術、戦略、情報、通信、兵站などに関する教育を実施しました。特に、石牌実践学社は「地下大学」と呼ばれ、高級幕僚の育成に大きく貢献しました。
作戦指導： 金門砲戦などの軍事作戦において、国民党軍に対して作戦計画の立案や指導を行いました。また、大陸反攻を目的とした国光計画の策定にも関与しました。
後方支援： 富士倶楽部を設立し、戦史・戦略・戦術に関する資料の研究・蒐集や、国際情勢、国防問題の分析を行いました。これらの資料は台湾に送られ、白団の教育活動に活用されました。

組織

白団の主要なメンバーは以下の通りです。

団長：富田直亮（陸軍少将、中国名：白鴻亮）
副団長：山本親雄（海軍少将、中国名：帥本源）
その他：吉川源三、戸梶金次郎、服部卓四郎など

評価

白団の活動は、台湾の軍事力強化に大きく貢献したと評価されています。蔣介石は、白団の軍事顧問としての能力を高く評価し、軍の再建や作戦計画の立案に積極的に関与させました。台湾の歴史家である戴国煇は、「蔣介石が軍の再建にあたり本当の信を置いたのは（アメリカの軍事顧問団ではなく）日本の軍事顧問団だったことは明らか」と述べています。

一方、アメリカ側は国民党軍に旧日本軍人が参加していることを問題視し、白団の解散を蔣介石に要請しましたが、蔣介石はこれを拒否しました。

解散

1969年、白団は活動を停止し、団員は日本に帰国しました。しかし、白団が台湾に残した功績は大きく、その影響は現在もなお残っています。

その後

白団の活動を顕彰する団体として、白団顕彰会が設立されました。また、白団に関する書籍やドキュメンタリー映画なども制作されています。

関連項目

明徳小組（ドイツ語: Ming-teh-Gruppe）
中華民国駐越軍事顧問団
大漠計畫
軍事顧問
日台関係
国共内戦

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