軍事顧問(ぐんじこもん)とは、外国に派遣され、その国の
軍隊に対して組織構成や訓練、さらには戦闘指揮に関する専門的な支援を行う専門職のことを指します。通常、現役または元
軍人がこの役割を担いますが、近年では民間企業の専門家も含まれるようになっています。これらの
顧問は、
軍事顧問団を編成し、派遣される場合が多い傾向があります。
歴史的背景
軍事顧問の派遣は、特定の政治的状況や国際情勢によって大きく影響されます。特に実戦部隊を派遣することが難しい場合、
軍事顧問の派遣が代替的な支援手段として利用されることがあります。例えば、ベトナム戦争においては、当初アメリカは直接戦闘部隊を派遣せず、特殊部隊群であるグリーンベレーからなる
軍事顧問団を南ベトナム政府に派遣しました。この
顧問団は、南ベトナムの
軍事援助司令部へと後に改編され、実質的な戦力として機能することになります。
アメリカ同時多発テロ事件後、
対テロ戦争の一環として
軍事顧問団の役割はさらに重要性を増しました。この時期、盟友国の
軍隊や
準軍事組織の訓練、指導が求められ、
アフガニスタンや
イラクに多くの
軍事顧問が派遣されました。特に、MTT(Military Transition Team)と呼ばれる部隊が現地政府の治安部隊と協力し、地域の安全確保を目指す活動を行っていました。
また、近年では
民間軍事会社が
軍事顧問の機能を担うケースも見られ、これが新たな
兵士の派遣形態として定着しつつあります。
軍事顧問団の具体的な例としては、フランス
軍事顧問団やトレーシー
顧問団、
南ベトナム軍事援助司令部が挙げられます。また、日本からの非正規
軍事顧問団である白団が
中華民国政府に派遣されたこともあります。他にも、
在華ソビエト軍事顧問団やイラン革命防衛隊が
レバノンの
ヒズボラに支援を行う例が確認されています。
日本国内では、在日
軍事援助
顧問団(通称マーグJ)が設立され、
警察予備隊の創設時にGHQから支援を受けた背景があります。このように、
軍事顧問の役割は国際社会において多様に展開されているため、今後も注目される分野となるでしょう。
まとめ
軍事顧問という職業は、戦争や国際情勢の変化に応じて重要な役割を果たしています。今後も新しい地政学的な課題に対応するため、
軍事顧問の活動は続いていくと考えられます。そのため、彼らの役割や歴史を理解することは、国際関係を洞察する上でも重要です。