戴国煇

戴国煇（たい こくき）

台湾の農学者、著作家。1931年、日本統治下の台湾、新竹州中壢郡平鎮庄（現在の桃園市平鎮区）に生まれる。祖籍は広東省梅県。

生い立ちと教育

祖父と父が日本語を敵視していた影響で、日本語の習得が遅れた。新竹中学入学後、日本人教師からいじめを受けたという。1945年の日本の敗戦後、国民政府の成立を歓迎した。しかし、二二八事件が発生すると、当時建国中学に在学していた戴国煇も弾圧を受けることとなる。

1955年、東京大学へ留学し、農業経済を専攻。1966年には「中国における甘蔗糖業の発展過程」の研究で東京大学から農学博士の学位を授与された。

研究者・教育者としての活動

1966年4月から1976年3月まで、アジア経済研究所の研究員（主任調査研究員）として勤務。この間、雑誌「アジア経済」に掲載された論文で、「台湾研究をタブー視する日本の風潮」を批判し、台湾研究の必要性を訴えた。1976年4月からは立教大学教授として教鞭をとり、後進の育成に尽力。同時に、執筆活動にも力を注いだ。

台湾との関わり

一時期、中華民国のブラックリストに載せられていたが、李登輝時代になると解除され、たびたび台湾に帰国した。1996年には、中華民国の総統府国家安全会議諮詢委員に招かれるなど、台湾の政治にも関与した。

人物像とエピソード

客家としての意識が非常に強く、初対面の小説家、司馬遼太郎に「司馬さん、僕客家」と自己紹介したエピソードは有名である。2001年初頭、評論家の小林よしのりの「台湾論」を批判していた最中に急逝。告別式には、当時の総統である陳水扁も参列した。

門下からは、若林正丈、春山明哲など、台湾研究の第一線で活躍する研究者を輩出した。

主な著作

台湾研究に関する多数の著作がある。

参考文献

立教大学史学会委員会「戴国煇先生略歴と主要著作目録」『史苑』第58巻第2号、1998年、99-101頁、doi:10.14992/00001450。

脚注

* 上記参考文献を参照。

もう一度検索