白子神社 (白子町)

白子神社：歴史と伝承、そして信仰が息づく神社

千葉県長生郡白子町関に鎮座する白子神社は、古くから地域の人々の信仰を集めてきた郷社です。主祭神は大己貴命（おおなむちのみこと）で、その歴史は永承3年（1048年）に八斗にて大己貴命を勧請したことに始まります。

創祀から数百年後、大治元年（1126年）8月13日、白子町にまつわる興味深い出来事が起こりました。里人が海岸で潮を汲んでいると、沖合から白い亀の上に白蛇が乗って近づいてきたのです。里人が神と見なして柄杓に登るよう促すと、白蛇はゆっくりと柄杓に登っていきました。この出来事をきっかけに、白蛇は神として祀られることとなり、白子神社における白蛇への特別な信仰へと繋がります。

その後、白子地域では疫病や災害が頻発し人々を苦しめることとなります。久安3年（1147年）、人々は災厄からの救済を願って、神社を現在の白子町関の南白亀台に移転しました。以来、白子神社は南白亀十二ヶ村の鎮守として、地域住民に大切に守られてきました。

江戸時代には、宝永5年（1708年）に正一位の極位を授かり、「白子大明神」の社号を賜りました。明治維新後の近代社格制度の整備に伴い、社号を現在の「白子神社」へと改称しました。

白子神社の社殿は、宝暦12年（1762年）に再建されたものが現在も残っており、平成28年には千葉県有形文化財に指定されています。また、境内には、随神像である矢大神も祀られており、昭和57年には白子町有形文化財に指定されています。さらに、境内の樹木群は白子町の天然記念物に指定されるなど、自然と歴史が調和した貴重な場所となっています。

白子神社では、春祭りにおいて五穀豊穣と産業隆昌を祈願する御田植祭が執り行われています。これは、神田に見立てた大太鼓を氏子総代が囲み、神主や田耕人、早乙女、田植歌手、牛子が古式ゆかしい所作で種まきから田植えまでの儀式を演じる、珍しい屋内で行われる予祝神事です。この伝統的な祭祀は、白子町無形民俗文化財にも指定されており、神社と地域住民の強い絆を示すものです。

白子神社へのアクセスは、JR東日本外房線本納駅から小湊鉄道バスに乗り、「白子中央公民館前」バス停下車、徒歩8分です。歴史と信仰、そして自然豊かな白子神社は、訪れる人々に深い感動を与えてくれるでしょう。

参考文献

『全国神社名鑑 上巻』全国神社名鑑刊行会史学センター、昭和52年
『角川日本地名大辞典 12 千葉県』角川日本地名大辞典編纂委員会、昭和59年
* 『白子町史』白子町史編纂委員会、昭和40年

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