白山川

白山川：ゲンジボタルと鍾乳洞の流れる清流

大分県豊後大野市を流れる白山川は、大野川水系に属する中津無礼川と奥畑川の総称として知られています。その水質の素晴らしさから、環境省選定の名水百選に選ばれており、透き通った美しい水が特徴です。

白山川の源流は、傾山系の大白谷に位置しています。山々から湧き出る清流は、豊かな自然に恵まれた環境を反映し、ゲンジボタルの生息地として広く知られています。幻想的なホタルの乱舞は、訪れる人々を魅了する夏の風物詩となっています。

しかし、白山川は単なる美しい景観地ではありません。この川は、日本最大級の水中鍾乳洞として名高い稲積水中鍾乳洞とも深く関わっています。稲積水中鍾乳洞の源流の一つは、白山川の上流約5km地点、豊後大野市三重町白谷の河原に浸透する水です。白谷の河原に浸透した水は、稲積山を形成する石灰岩層中の洞窟地下水系を通り、長い年月をかけて鍾乳洞へと流れ込むのです。

このため、降雨量の少ない時期には、白山川の水は白谷で全て地中に吸収され、下流は一定区間、涸れ川となります。この現象は、白山川の水が地層と密接に関係していることを示す、自然の神秘と言えるでしょう。

白山川の美しい自然環境を守るため、地域住民による熱心な保全活動が行われています。「白山川を守る会」は、河川浄化を目的として結成され、有機リン酸系合成洗剤の使用禁止や農薬の使用量削減など、具体的な取り組みを進めています。地域住民の意識と行動が、白山川の清流を未来へと繋いでいるのです。

白山川は、単なる河川ではなく、地域住民の生活と深く結びついた存在です。ゲンジボタルの乱舞、神秘的な稲積水中鍾乳洞、そして地域住民の環境保全への取り組み。これらの要素が一つとなり、白山川という独特の景観と魅力を生み出していると言えるでしょう。

近年では、大野川流域全体でのネットワーク強化も進められており、「源流の碑建立祭」など、地域一体となった取り組みも活発に行われています。白山川は、自然の恵みと人々の努力が織りなす、かけがえのない宝と言えるでしょう。これからも、その美しい姿が保たれ、多くの人々に感動を与え続けることを願わずにはいられません。

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