白橋宏一郎

白橋宏一郎

日本の医学者であり、精神科医。

特に児童期や青年期における精神医学、すなわち児童精神医学を専門分野とし、その臨床および研究、そして後進の育成に多大な貢献をしました。精神科医としては初めて国立総合病院の院長職に就任するという、当時としては画期的な業績を上げ、その存在は日本の医療史においても特筆されます。

経歴

1926年（大正15年）に生まれ、医学の道を志しました。1951年（昭和26年）に東北大学医学部を卒業後、精神医学の分野に進みます。

キャリアの初期には、国立仙台病院にて精神科医として勤務し、1958年（昭和33年）には同院の精神科医長を務めました。また、母校である東北大学医学部においても講師として教鞭を執り、教育にも携わっています。

1959年（昭和34年）には、東北大学より医学博士号を取得し、研究者としての基盤を固めました。その後、東北福祉大学の教授に就任し、多くの学生や研究者を指導しました。長年にわたる国立仙台病院での功績が認められ、同病院の名誉院長も務めています。

功績

白橋宏一郎氏は、日本の児童精神医学の発展において中心的な役割を果たしました。

特に、東北地方における児童期・青年期の精神医療の向上を目指し、東北児童青年精神医学会を立ち上げたことは重要な功績の一つです。これにより、地域の専門家間の情報交換や研究交流が促進されました。

また、精神科医として初めて国立総合病院の院長に就任したことは、精神科医療の社会的認知度向上や、精神科医療が総合医療システムの中で重要な位置を占めるべきであるという強いメッセージとなりました。これは当時の精神医療を取り巻く環境においては、極めて異例かつ画期的な出来事でした。

長年にわたり、臨床現場での経験と研究成果に基づき、多くの論文や著書を発表し、児童精神医学の知識普及に努めました。日本における児童精神医学の第一人者として、後進の育成にも情熱を注ぎ、多くの優れた精神科医を育て上げました。

学会活動

国内外の学会活動においても精力的に活動しました。

日本児童青年精神医学会の元理事長を務め、国内の同学会の発展に貢献しました。
国際児童青年精神医学会の第12回組織委員長を務めるなど、国際的な舞台でも活躍し、日本の児童精神医学を世界に紹介しました。

主な著作・翻訳

白橋宏一郎氏は、専門分野に関する複数の著書や分担執筆、翻訳を手がけ、児童精神医学の知見を広く共有しました。

著書（共著・分担執筆など）
『行動異常児』明治図書 (共著)
『病児の心理』金沢文庫 (分担執筆)
『精神分裂病と年代 児童期』医学書院 (分担執筆)
『リハビリテーションにおける精神医学的関与』昭学社 (分担執筆)
『精神神経科』金原出版 (分担執筆)
『児童精神科臨床2 治療関係の成立と展開』星和書店 (編著)
翻訳
G. O Gorman 著 『こどもの自閉症』北望社 (監訳)

これらの著作や翻訳は、日本の児童精神医学の臨床実践や研究の発展に寄与しました。

2009年（平成21年）2月3日に永眠。その生涯を通じて、児童精神医学の発展と普及に尽力し、日本の精神医療史に確固たる足跡を残しました。

関連分野

精神医学
* 児童精神医学

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