白河国造

白河国造（しらかわのくにのみやつこ）

白河国造は、令制国において陸奥国白河郡、現在の福島県白河市およびその周辺地域を統治していた国造です。この地域には多くの歴史的背景と伝承があります。

概要

白河国造の起源は、『先代旧事本紀』の「国造本紀」によると、成務朝5年に天降天由都彦命の11世の子孫である鹽伊乃己自直が、この国造に任命されたことに始まります。彼は、玉祖氏と同族であり、東山道系の国造として、信夫国造、染羽国造、伊久国造、思太国造の同族とされています。

祖先と氏族の概要

白河国造の子孫には井上氏が含まれ、慶長5年（1600年）には伊野郷（現在の棚倉町）の検地が行われました。この際、井上姓を名乗る数名の有力豪族が記録されており、これが彼らの影響力を示しています。

史跡や文化

福島県東白川郡棚倉町には、鹽伊乃己自直を祀った伊野地蔵尊が存在します。ここでは、彼がかつて住んでいたとされており、神仏習合の影響を受けて、地蔵信仰の対象に変わりました。歴史的には小さな祠や鳥居があったと伝えられています。

同様に、鹽伊乃己自直の墓とされる「馬場古墳」は馬場都々古別神社の近くにあり、地域の重要な文化財となっています。

地名の由来

棚倉町の地名は、鹽伊乃己自直が荒れ地を開墾し、民生に尽力したことに由来しています。地元の住民は彼に感謝を込めてこの地域を「伊乃」と呼ぶようになり、後には「入野」とも称されるようになりました。この地名は明治初期まで残り、彼との深い結びつきを示しています。

今でも棚倉町の町名は旧棚倉藩に関連しており、歴史を物語る重要な要素です。

支配領域

白河国造の支配地域は、現在の福島県の白河市、西白河郡、東白川郡、および石川郡に相当します。この地は、律令制下においても大きな役割を果たし、特に白河の関がヤマト王権の北限として機能していました。白河国造は、当時の国防と地域発展に寄与したと言われています。

氏神や遺跡

白河神社には、社伝によれば成務5年に鹽伊乃己自直を祀られたとされています。また、白河舟田・本沼遺跡群には古墳も存在し、白河国造の墓である可能性が指摘されています。このような遺跡は、地域の歴史を知る上で貴重な資料となっています。

結論

白河国造の歴史は、福島県の文化や歴史に深く根ざしています。豊かな伝承や文化遺産を持つこの地域は、将来にわたって研究されるべき価値があるでしょう。

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