白石島の鎧岩

鎧岩（よろいいわ）

岡山県笠岡市白石島に存在する鎧岩は、特異な形状を持つ奇岩として知られ、「白石島の鎧岩」として国の天然記念物に指定されています。

概要

鎧岩は白石島中央に位置する鬼ヶ城山山頂にあり、アプライト（半花崗岩）の岩脈が花崗岩を貫いて形成されました。この岩は大小2つの部分から構成されており、上側の岩は幅約2.4m、高さ約1.8m、下側の岩は幅約3m、高さ約8.2mとなっています。

鎧岩の最大の特徴は、岩脈に発達した方状節理の様子と、アプライトが花崗岩の表面に張り付いている様子が、まるで大鎧の大袖のように見えることです。この独特な外観が「鎧岩」という名前の由来となっています。

地質学的特徴

鎧岩は、アプライトという半花崗岩の岩脈が、周囲の花崗岩を貫くようにして形成されたものです。アプライトは、花崗岩よりも細かい鉱物粒子で構成されており、特有の白色を帯びています。このアプライトの岩脈が、花崗岩の中を сеть に入り込むことで、独特の景観を生み出しています。

方状節理とは、岩石が冷却・収縮する際にできる規則的な割れ目のことです。鎧岩に見られる方状節理は、アプライトの岩脈が冷え固まる過程で形成されたと考えられています。この方状節理が、鎧岩の表面に独特の模様を作り出し、鎧のような外観を強調しています。

天然記念物としての価値

鎧岩は、その独特な形状と地質学的な特徴から、1942年10月14日に国の天然記念物に指定されました。この指定は、鎧岩が学術的に貴重な存在であり、自然の造形美を代表するものであることを示しています。

鎧岩は、その景観の美しさだけでなく、地質学的な価値も高く評価されています。この岩は、地球の長い歴史の中で起きた地殻変動や、岩石の形成過程を物語る貴重な証拠であり、地質学の研究においても重要な資料となっています。

アクセス

鎧岩へは、白石港から登山道を通り、鬼ヶ城山山頂を目指すことでアクセスできます。山頂からは、瀬戸内海の美しい景色を一望できるほか、鎧岩の迫力ある姿を間近に見ることができます。

まとめ

鎧岩は、その独特な形状と地質学的な特徴から、多くの人々を魅了する奇岩です。白石島を訪れた際には、ぜひ鎧岩を訪れて、自然の造形美を堪能してください。

参考文献

光野千春ほか解説 著、山陽新聞社出版局編 編『岡山の地学』山陽新聞社〈原色図鑑〉、1982年。ISBN 4-88197-108-5。
山陽新聞社編（英語）『岡山の美と心 : 文化財写真集』山陽新聞社出版局、1990年。ISBN 4-88197-330-4。
* 沼野忠之 著「誰が着たのか白石島のよろい岩!?」、山陽新聞社編 編『不思議発見岡山のなぞ!?』山陽新聞社、1995年、115-117頁。ISBN 4-88197-562-5。

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