白石昌也

白石昌也の経歴と業績

白石昌也（しらいし まさや、1947年7月13日生まれ）は、日本を拠点とする国際政治学者であり、特にベトナムの近現代史や日本とインドシナの関係において広く知られています。彼は早稲田大学名誉教授で、教育と研究を通じて多大な影響を与えてきました。

学歴とキャリア

彼は東京にて生まれ、1970年に東京大学の教養学部で国際関係論を学び卒業しました。その後、1979年には同大学院の社会学研究科で博士課程を修了しました。この間、彼はアメリカのコーネル大学で東南アジア史と国際関係論に関する研究を行い、国際的な視野を広げました。

その後、大阪外国語大学でタイ・ベトナム語の専任講師としてキャリアをスタートし、1982年には助教授に昇進しました。さらに1983年から1985年までは、パリ第7大学で客員研究員として活動し、国際的な環境でも研究を進めました。1987年には横浜市立大学に助教授として赴任し、1992年には教授に昇進、同年に東京大学から「ベトナム民族運動と近代日本・アジア ファン・ボイ・チャウの革命論を中心に」と題した論文で博士号を取得しました。

1999年には早稲田大学のアジア太平洋研究科に教授として招聘され、ここで教育と研究を続けています。彼の研究は、ベトナムの歴史や政治に留まらず、広くアジアの国際関係に対しても大きな寄与をしています。2019年春には、瑞宝中綬章を受章し、その業績が公式にも評価されました。

主な著作と研究成果

白石は数多くの著書や論文を執筆しており、代表作の一つとして『東アジアの国家と社会 5 ベトナム 革命と建設のはざま』（1993年、東京大学出版会）や『ベトナム民族運動と日本・アジア :ファン・ボイ・チャウの革命思想と対外認識』（1993年、巌南堂書店）が挙げられます。特に前者ではベトナムの革命と社会構造について深く掘り下げており、後者ではファン・ボイ・チャウに着目し彼の思想と日本との関係を分析しています。

また、彼の著書には、15歳以上の若者を対象にした「伝記で知るアジアの近現代史」シリーズの一環として出版された『日本をめざしたベトナムの英雄と皇子 ファン・ボイ・チャウとクオン・デ』（2012年、彩流社）もあり、教育的な視点からのアプローチを大切にしています。

専門分野における共編著も多数あり、例えば、『ベトナムのドイモイの新展開』（1999年、竹内郁雄共編）や『ベトナムの国家機構』（2000年、明石書店）などがあります。

翻訳活動

また、翻訳者としても活躍し、ファム・カク・ホエの『ベトナムのラスト・エンペラー』（1995年、平凡社）や、グエン・スアン・オアィンの『ベトナム経済 21世紀の新展開』（2003年、明石書店）などの監訳を手掛けています。これらの作品は、ベトナムの歴史や経済の理解を深めるために貢献しています。

白石昌也の研究は、単なる学問にとどまらず、日本におけるベトナム理解の深化に寄与し、国際的な視点からアジアの政治的状況を考察する上で重要な基盤を提供しています。彼の活動は、未来の国際関係の枠組みを形成する上でも重要な意義を持つと言えるでしょう。

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