白石直治

白石直治の生涯と業績

白石直治（しらいし なおじ、1857年12月15日 - 1919年2月17日）は、明治から大正時代にかけて重要な役割を果たした土木技術者であり、土木工学者、東京帝国大学の教授、衆議院議員、さらには実業家としても知られています。彼は旧姓を久家とし、土佐藩の儒学者である久家種平の長男として、高知県南国市の十市村で誕生しました。

幼少期と学問の道

13歳の頃、土佐藩校である致道館に通い、学問に励む傍ら、勤王論にも影響を受け、長州藩に身を寄せたこともありました。その後、維新の動乱を経て上京し、後藤象二郎の家に住むこととなります。1881年、東京帝国大学工科大学の土木学科を卒業し、その後、農商務省に勤務し、続いて東京府に転職しました。

海外留学と技術の確立

1883年、文部省からの命令により、アメリカに留学しました。彼は、著名な橋梁工学者W.H.バー教授の下で学びながら、ペンシルベニア鉄道会社やフェニックス橋梁会社などで実務経験を積みます。さらにヨーロッパにも渡り、ドイツやフランスの工場を見学しながら、知識と技術を深めました。1887年に日本に帰国すると、農商務省や東京府の御用掛を経て、東京帝国大学教授に就任しましたが、1890年にこの職を辞することになります。

実業界への進出

その後、1891年に工学博士の称号を得て、実業界に進出しました。九州鉄道の社長や関西鉄道の社長、そのほかにも数多くの企業の重役を歴任しました。代表的な業績には、1906年に完成した日本初の鉄筋コンクリートの建物である東京倉庫D号があり、また1904年に竣工した当時東洋最大の規模を誇った長崎のドライドックなども挙げられます。

政治活動とその後

1912年の第11回[[衆議院議員総選挙]]において、郷里からの推薦を受けて出馬し、当選を果たしました。立憲政友会に所属し、3回再選されるなど、政治活動にも力を入れました。この間に、四国縦貫鉄道の建設などに貢献し、その後1919年には土木学会の第5代会長に選ばれましたが、就任からわずか2ヶ月後に亡くなりました。

家族と後世への影響

白石直治は詩も嗜む文化人であり、彼の業績や影響は次世代へと引き継がれました。実父である久家種平や義兄、そして子どもたちも各界で精力的に活動しました。その中でも、長男の白石多士良は小松製作所の初代社長を務め、また白石宗城は新日本窒素肥料の社長としても知られています。彼の家族もまた、近代日本の発展に寄与しました。

著作と評価

彼の著作「鉄道国有論」は1891年に出版されており、土木技術や鉄道の国有化についての考察がなされています。彼の生涯は多くの業績に満ちており、近代土木技術の発展に大いに貢献しました。白石直治の業績は、今日でも多くの人々に評価され、彼の名は日本の土木史に刻まれています。彼の墓所は青山霊園にあり、その功績を今に伝えています。

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