白線 (性風俗)

白線（ぱいせん・はくせん）

白線は、1958年4月に施行された売春防止法の実施後も続いていた非合法の売春行為を指す用語です。売春防止法が施行される前は、売春行為を許可された特殊飲食店や、それに黙認されていた区域が赤線地区、また一般の飲食店街や盛り場で行われる非合法の売春行為が青線地区と呼ばれていました。売春防止法施行後は、赤線や青線で働いていた売春婦が新たな職業に就くことを促されたものの、もぐりでの売春は巧妙に続けられていました。これを指す新しい用語として白線が生まれたのです。

白線の由来

白線という名称の由来は、アンダーグラウンドで行われる売春行為に付けられました。これは、赤線で才覚を持ったプロではない、一般的な人々による非合法の売春を示しています。特に、白一色の麻雀牌の一つである「白板」を用いたことから、この名が付けられたと言われています。言葉の使い分けとして、赤線や青線は売春が行われる区域を指し、白線はその売春行為自体、さらには白線地帯はもぐり売春を行う組織や店舗を指すことが一般的です。

売春防止法施行以前にも白線の言葉が存在したとも言われていますが、その認識が深まったのは法制化の動きが広がり、売春業者のアンダーグラウンド化が進んだ時期でした。

白線の形態

白線に関する売春行為は、固定的な形態を持たず、売春婦が指定された場所に派遣されるケースや、アパートの一室で行われることが多かったです。特に特筆すべきは、電話を通じて売春婦を呼び出す手法があり、これを「黄線（おうせん）」や「イエローライン」と呼ぶこともありました。加えて、表向きは結婚紹介所を装い、実際には売春婦を紹介する行為も見受けられました。

売春防止法施行後、旧赤線業者が新たに旅館や下宿業に転業し、売春婦を仲居や女中のように見せかけて客にサービスを提供させることもありました。

組織と暴力団の関与

白線に関連する行為は、時折組織化されていました。街娼たちが集まりリーダーを置く形や、主婦や職業女性が結集し秘密の組織を作成する形が見られました。このような組織の背後には暴力団の存在があり、これを「黒線（くろせん）」と称することもあったのです。

映画と文化への影響

白線に関連する社会的な問題は映画にも影響を与えました。特に1958年に公開された『白線秘密地帯』は、警察が白線の組織を暴く内容で、多くの俳優たちが出演しており、その監督は石井輝男です。この映画は、白線という言葉が持つ社会的な問題を浮き彫りにしました。

結論

白線は、法制度の変化に伴っても存在し続けたもぐり売春行為を示す言葉であり、その背景にはさまざまな形態や構造が存在します。現在の性風俗関連の多様性や変遷を考えると、白線の概念は日本の文化史の中で重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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