白蘭の歌

映画『白蘭の歌』の概要

『白蘭の歌』は1939年に公開された日本と満州国の合作映画であり、国策映画として製作されました。製作は東宝映画と満洲映画協会が行い、映画の原作は作家・久米正雄の新聞連載小説です。この作品は、当時の映画界の中心人物である長谷川一夫と歌手・李香蘭が主演を務めたことでも知られています。これは「大陸三部作」と呼ばれるシリーズの第1作目であり、特に印象的なラブロマンスを展開しています。

ストーリー

物語は満鉄の技師、松村康吉（演：長谷川一夫）と満州の富豪の娘、李雪香（演：李香蘭）の愛を描いています。しかし、雪香の従兄で共産主義者の程資文は、二人の関係を良く思っていません。ある日、康吉の家計が厳しくなり、彼は満鉄を退職する決断をします。弟の徳雄とその婚約者になった京子と共に開拓村に移住します。

康吉の家族の状況を知った雪香は、不安な気持ちで開拓村を訪れますが、康吉の妻として京子を勘違いして去ってしまいます。日本人に裏切られたと感じた雪香は、程資文の勧めで抗日軍に参加することになりますが、実は二人の手紙の受け取りを妨害していたのは程資文の陰謀でした。

戦争の影響

物語は盧溝橋事件を契機に動き出し、康吉が満鉄の現場で勤務している際に、雪香が再び彼に会いに来ます。彼女は真相を知り、彼に対する誤解を解くのです。しかし、その時、抗日軍の襲撃が始まり、康吉と雪香は共に鉄道を守るため戦います。悲劇的な結末として、二人は命を落としてしまいます。

主題歌

映画の主題歌「白蘭の歌」は、久米正雄が歌詞を手掛け、竹岡信幸が作曲を担当しました。美しい旋律と流れるような前奏は、この映画の雰囲気を際立たせます。映画内では、この歌が康吉らが開拓村に向かう際のシーンで流れ、観客に深い印象を与えました。

さらに、映画中には「いとしあの星」という主題歌も使われており、こちらも李香蘭が関わっているが、当時のレコード会社の制約によって歌唱は渡辺はま子が担当しました。歌詞やメロディーの面でも、この作品は多くの人々に愛され続けています。

映画の再評価と映像ソフト

『白蘭の歌』は1981年頃にVHSとして一般家庭向けに発売され、その後もビデオ通信販売機構で再_catalogされました。しかし、2014年の時点でDVDやBDの発売は行われておらず、今なお映像ソフトとしての展開は期待されています。この映画は、日本映画史の中で特筆すべき作品として、多くの人々にとって重要な意味を持ち続けています。

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