長谷川一夫

長谷川一夫 - 日本映画界のスター

長谷川一夫（はせがわ かずお、1908年2月27日 - 1984年4月6日）は、日本の映画界で特に著名な俳優であり、時代劇のスターとして名を馳せました。彼はかつて林長丸や林長二郎といった芸名でも知られ、愛称は「長さん」です。

身長162cmの彼は、戦前から戦後にかけて日本映画界で輝かしいキャリアを歩み、剣戟映画の先駆者として数多くの作品に出演しました。特に、阪東妻三郎や大河内傳次郎などとともに「時代劇六大スタア」として称され、時代劇ファンの心をつかんで離さない存在でした。長谷川一夫は、松竹からのスタートを皮切りに東宝や大映といった名だたる映画会社でも活躍し、300本以上の映画に出演しました。また、晩年には舞台やテレビドラマでもその存在感を発揮しました。

彼の俳優人生は、歌舞伎の世界からスタートしました。1908年、京都府に生まれた彼は、幼少期から芝居に親しみ、1913年に舞台デビューを果たします。関西歌舞伎の名門に師事し、青年歌舞伎などで舞台経験を積み、1927年には映画にデビュー。すぐさまその美貌が話題となり、時代劇映画での美剣士としての人気を確立しました。

1935年には『雪之丞変化』で主演し、彼の人気は頂点に達しました。彼は多様な役柄をこなし、その演技力と魅力で観客を魅了しましたが、天才的な美貌も人気を支える大きな要因でした。

1937年、長谷川は松竹から東宝に移籍しました。この移籍は、彼にとって新たな挑戦であり、同時に激しいバッシングも招きました。特に「忘恩の徒」と呼ばれ、マスコミから非難を受けた彼は、移籍後すぐに襲撃され顔に傷を負うという事件に巻き込まれましたが、その逆境を乗り越え、俳優として再び舞台に立つこととなります。彼は戦後も活動を続け、テレビドラマや宝塚歌劇など多方面で成功を収めました。

家族面では、彼は初代中村鴈治郎の次女と結婚しましたが、後に離婚。その後、新橋の名妓と再婚し、男児や女児をもうけました。子孫に女優の長谷川かずきがいるなど、彼の演技のDNAは次世代へと引き継がれています。

1984年に76歳で亡くなるまで、長谷川は多くの作品に携わり続けました。彼の功績は合計300本以上の映画出演と多くの舞台での活躍に加え、俳優として初の国民栄誉賞を受賞し、その遺産は今もなお日本のエンターテインメント界に息づいています。今日の日本映画における彼の影響は、長谷川一夫の名が決して忘れられることはないことを示しています。

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