白豪主義

白豪主義(白豪主義)



白豪主義は、オーストラリアにおける白人至上主義を基にした非白人に対する排除政策を指します。狭義の見地からは、1901年に制定された移住制限法から1973年の移民法までの政策を指し、広義には先住民族であるアボリジニやその他の非白人コミュニティに関する歴史的な迫害も含まれます。

1. 歴史的背景



1788年、大英帝国がオーストラリアを植民地化したことからこの問題は始まります。入植者によるアボリジニへの迫害や疫病の蔓延が彼らの生活に深刻な影響を与え、19世紀後半にはタスマニアの純血アボリジニはほぼ絶滅してしまいました。1870年代には、砂糖産業の発展に伴い、太平洋諸島からの労働者が強制的に徴募され、一部は奴隷のように扱われました。これらの歴史的経緯が、のちの白豪主義の枠組みを形成する要因となります。

2. 労働運動と白豪主義の関係



入植者たちは主にイギリスからの白人であり、奴隷制が廃止された後の1833年からは労働者の不足が生じます。その結果、1860年代には中国からの移民労働者が増加し、同時に彼らに対する反感が広がりました。特に金鉱の発見後、白人労働者が外国人労働者に脅威を感じ、労働運動が白豪主義の推進力となったのです。艇組合のストライキや移住制限法の制定によって、外国人の流入は厳しく制限されました。

3. 白豪主義体制の形成



1901年オーストラリアは連邦国家としての体制を整え、同年に移住制限法を制定しました。この法律により、特に非白人の移民が厳しく制限され、白豪主義が政策として確立されます。日英同盟の中で日本が地政学的に重要な位置を占めていたにもかかわらず、白豪主義的な思考が優先され、日本移民への排除が進みました。

4. 第二次世界大戦後の変遷



第二次世界大戦後、オーストラリア多文化主義政策にシフトしました。労働党政権のもと、1973年に移民法が改正され、従来の差別政策が撤回されることとなります。特にアジア諸国からの移民が受け入れられるようになり、オーストラリアは多文化共生の道を歩み出しましたが、なおも人々の中には差別感情が根強く残っています。

5. 現代の課題



21世紀に入り、オーストラリアの移民の約4割がアジア系だと言われていますが、それに対する反発も見られます。2008年には一部の人々が特定の民族を否定的に捉える調査結果が発表され、依然として白豪主義が影を落とす状況が続いています。また、近年では極右勢力が台頭し、有色人種への心理的な差別も依然として問題視されています。過去の歴史を教訓に乗り越え、多様性を尊重する社会の実現が求められています。

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