白鳥異伝

『白鳥異伝』

荻原規子によるファンタジー小説『白鳥異伝』は、日本の伝説、特にヤマトタケルにインスパイアを受けた作品です。この作品は『空色勾玉』や『薄紅天女』と並び、勾玉シリーズの第2弾として位置づけられています。

あらすじ

物語の中心となるのは、巫女の家系に生まれた橘一族の姫・遠子と、彼女の幼なじみ小倶那の二人です。彼女たちは三野の地で兄妹のように育ちましたが、彼女たちの人生には別れが待ち受けています。やがて成長するにつれ、二人はそれぞれの運命に導かれます。

ある日、彼女たちは小倶那によく似た青年・大碓と出会います。大碓は日継の皇子であり、不老不死を求める父大王の命令で、橘の勾玉と明姫を迎えに来た存在です。出会った瞬間から惹かれ合う遠子と大碓ですが、大碓は明姫を迎えるという義務に縛られてしまいます。一方、小倶那は大碓の部下となり、さまざまな経験を積むことに。

その後3年が経ち、成長した小倶那は偶然にも明姫と再会しますが、彼女は勾玉の力を失い、悲惨な境遇にあります。明姫を愛する大碓は、小倶那を利用し、明姫や他の仲間たちとともに三野へ逃げる計画を立てます。この過程で、彼の理想と現実との間の葛藤が浮き彫りになり、大王への反旗を翻すことを決意します。さらに、小倶那は自身の出生の秘密が明らかになり、彼は「剣の皇子」としての運命を受け入れることになります。

しかし、二人の運命は再び交差します。大碓によって小倶那がかつての故郷である三野とともに滅ぼされる運命が待ち受けているのです。小倶那は、生き残った遠子を殺さざるを得なくなってしまいます。彼女の心の中で、大蛇の剣に挑むべく、橘の四つの勾玉を探し求める旅が始まるのです。

登場人物

• - 小倶那（おぐな）/小碓（おうす）: 本作の主人公であり、内向的ながらも強さを求める青年。生まれながらに運命に翻弄されていますが、剣の力に振り回されることになります。
• - 遠子（とおこ）: 作中のもう一人の主人公で、気の強い姫。小倶那との深い絆を持っており、運命に抗う姿が描かれます。
• - 大碓（おおうす）: 皇子としての立場を持ちながら、内心の葛藤や成長が描かれるキャラクター。

物語は、様々なキャラクターを通じて、運命、愛、裏切り、そして再生のテーマを描き出しています。読者は、この壮大なファンタジー世界に没入し、登場人物たちの運命に引き込まれることでしょう。

結び

荻原規子の『白鳥異伝』は、ただのファンタジー小説ではなく、日本の古代伝説を絡めた深い人間ドラマを展開します。様々なキャラクターとの関係や、運命の複雑な絡まりを楽しみながら、読み進めていくことができます。本作を通じて、愛と絆の意味を再考する機会を得ることができるでしょう。

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