白鳳地震

白鳳地震について

白鳳地震（はくほうじしん）は、684年の天武天皇13年10月14日（ユリウス暦11月26日）に発生した日本で最古の記録に残る巨大地震です。主に南海トラフ沿いで起こったと推定されており、震源域は南海道沖に位置する可能性が高いとされています。この地震は『日本書紀』に記録が残っており、当時の日本に甚大な被害をもたらしました。白鳳の大地震とも呼ばれ、また天武地震とも称されることがあります。

## 史的背景と記録

白鳳地震は、有史以来の確実な記録が存在する南海トラフの巨大地震としては最古のものとされています。『日本書紀』にはこの地震の事例が詳細に記されており、特に被害の状況や地震の規模についての記述が残っています。それ以前にも地震の記録はありますが、具体的な震源や被害については詳しく述べられていませんでした。たとえば、推古地震や允恭[[地震]]などの古い記録は、地震の発生を示すだけで詳しい被害状況は不明でした。

## 地震の規模と影響

白鳳地震の記録によれば、地震が発生した直後、全国に亘る大規模な地震が観測されました。被害の様子としては、山崩れや液状化現象、道や家が沈下する様子が見られました。また、エリアによっては田畑が海の底に沈んだという記録もあり、特に土佐地方では約12平方キロメートルの農地が海に没したと伝えられています。さらに、地震による津波も襲来し、多くの船が流失しました。

こうした現象は、昭和南海[[地震]]や宝永地震にも類似しており、田畑の水没は南東方向に地盤が変動した結果であると考えられています。このような大規模地震の影響は、何世代にもわたって地域住民の記憶に刻まれています。

## 被害と温泉の変化

『日本書紀』には、伊予湯泉や紀伊の牟婁湯泉が湧出が完全に止まったと記されています。また、温泉の湧出停止は、地震による強い地殻変動が原因と見られます。これらの温泉は現存する温泉地の一部であり、地震による影響は現在も泉質に影を落としている可能性があります。特に伊予湯泉は、道後温泉として知られる場所に関してもさまざまな説があります。

## 発掘調査とその成果

近年の発掘調査では、白鳳地震とその後の地震活動が示唆されており、南海道沖だけではなく、東海道沖の同時多発的な地震の痕跡も発見されています。例えば、静岡市の遺跡からは7世紀中頃の液状化の痕跡や嵐の際の津波堆積物が確認されています。また、奈良県や和歌山県においても、地震による地形の変化や液状化の痕跡が見つかっており、これらの調査から、白鳳地震は南海トラフ全域を震源とする非常に深刻な地震であったことが明らかになっています。

## 地震活動の集中

白鳳地震の前後には、同様の地震が頻発しており、679年の筑紫地震もその一つです。この時期、特に西日本で地震活動が活発であったとされ、記録には「地震」や「地動」などの現象が数多く登場します。このような状況は、後の南海トラフ地域の地震頻発と関係があるのかもしれません。

## まとめ

白鳳地震は、日本の地震史において非常に重要な出来事です。記録に残る最古の巨大地震の一つであり、その影響は当時の社会や地形に大きな変革をもたらしました。発掘調査や歴史的文献の研究によって、今後もその詳細が明らかにされることが期待されています。

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