百々和

百々 和（どど かず）

1919年7月5日に生まれ、2011年2月18日に逝去した百々和は、日本の経済学界において重要な役割を果たした経済学者です。特に神戸大学の名誉教授として知られています。

経歴

百々は兵庫県武庫郡須磨町、現在の神戸市須磨区で生まれました。1943年には満州建国大学を卒業した後、徴兵されました。第二次世界大戦後は、残留日本軍として中国共産党軍と対峙する日々を過ごしました。1949年に中華人民共和国に抑留された後、1956年に日本に帰国しました。その後、神戸大学経済学部大学院へ進学し、1962年に博士課程を満期退学しました。

キャリアの初期には、1960年に龍谷大学の助手として職を得、1964年には神戸大学に移り、教養部の講師に就任しました。その後、助教授、経済学博士取得を経て、1972年に教授となりました。1983年には定年退官となり、名誉教授に就任しました。退官後は神戸学院大学や広島経済大学でも教授を務め、1996年に退職しました。百々はまた、中国での体験を基に制作された『蟻の兵隊』にも出演しており、貴重な見解を提供しました。

著書

彼の著作は、経済学のさまざまな分野をカバーし、影響力のある作品を数多く残しています。主な著書には次のようなものがあります。

• - 『現代資本主義の構造』（1960年、竜谷大学竜谷学会）
• - 『現代資本主義と寡占経済』（1969年、東洋経済新報社）
• - 『現代社会の展望と青少年問題』（1981年、神戸市青少年問題協議会）
• - 『経済学講義 マクロ経済学』（1983年、三和書房）
• - 『現代中国経済論』（1994年、三和書房）
• - 『自分史回想』（2007年、文芸社）
• - 『旅の随想』（2007年、文芸社）

また、多くの共著や編著も手掛けており、経済政策や計画論など多岐にわたるテーマを扱っています。特に、『経済政策総論』では経済政策の課題に深く切り込んでいます。さらに、翻訳も行っており、A.S.アイクナー編著の『なぜ経済学は科学ではないのか』の監訳が知られています。

論文

百々は研究者としても多くの論文を発表し、経済学界において多大な貢献をしました。彼の論文は主に管理価格論や寡占産業における価格形成、企業行動に関する理論など、詳細で具体的な分析に基づいています。これらの論文は、『国民経済雑誌』などの学術誌に掲載され、経済学研究の重要な資料として評価されています。

最後に

百々和の業績は、経済学の発展に寄与しただけでなく、後進の指導にも尽力しました。彼の知識と経験は、今も多くの経済学者や学生に影響を与え続けています。日本の経済学界における彼の評価は非常に高く、彼の残した著作や論文は、未来にも受け継がれていくことでしょう。

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