百済貨物ターミナル駅

百済貨物ターミナル駅：大阪南部を支える貨物拠点の変遷

百済貨物ターミナル駅は、大阪府大阪市東住吉区今林にある、JR貨物関西本線貨物支線の貨物駅です。2013年3月のダイヤ改正で、従来の百済駅から改称されました。この改称は、梅田貨物駅の機能移転に伴う大規模な改修工事と駅設備の近代化を反映しています。

歴史：戦時計画から現代の物流拠点へ

百済駅の起源は第二次世界大戦中、1940年にまで遡ります。大阪南部の貨物輸送量の増加に対応するため、新駅の建設が計画されました。しかし、戦争によって計画は中断。戦後、大阪南部の復興と人口増加により貨物輸送量は再び急増し、既存の貨物駅の処理能力は限界に達しました。特に天[[王寺駅]]は、旅客と貨物の分離が課題となっていました。

1960年代初頭、天[[王寺駅]]、八尾駅、平野駅における車扱貨物と小口貨物の輸送を一元化し、処理能力を向上させる計画が立案されました。新たな貨物駅建設地として、道路網が整備され貨物輸送に適した天[[王寺駅]]から約5km離れた場所が選定されました。用地取得には、戦時中に取得済みだった土地に加え、農地改革による買収や、不法占拠地の強制退去など、長期間に渡る手続きが必要でした。

1963年10月1日、年間40万トンの取扱能力で暫定開業。当初計画では60万トンでしたが、コンテナ輸送の増加を見込み、設備の増強が続けられました。その後、コンテナ輸送設備の増強、自動車輸送拠点としての機能追加、小荷物センターの設置など、百済駅は近代的な貨物拠点として発展を遂げました。ピーク時の年間取扱能力は320万トンに達しましたが、輸送需要の変化に伴い、効率化が進められました。

改修事業：梅田貨物駅機能の移転と近代化

梅田貨物駅の再開発に伴い、その機能は吹田貨物ターミナル駅と百済駅に分散移転されることになりました。百済駅では大規模な改修工事が行われ、駅面積は13.6ヘクタールから15.1ヘクタールに拡大。構内は18両編成900トン対応から26両編成1300トン対応へと拡張されました。

従来、平野駅から百済駅までの貨物列車は、関西本線の上り線を逆走していましたが、貨物列車専用線の増設により、この問題は解消されました。さらに、駅構内の非電化路線は直流電化され、ディーゼル機関車による入換作業は廃止されました。コンテナホームも拡張され、着発線荷役方式にも対応できるようになりました。駅周辺の道路整備も進められ、トラックの出入りと歩行者の動線を分離する立体横断施設も整備されています。

駅構造と設備

百済貨物ターミナル駅は、15.1ヘクタールの広大な敷地に3面のコンテナホーム、5本のコンテナ荷役線を有します。26両編成に対応できるコンテナホームが2面、20両編成に対応できるコンテナホームが1面あります。駅舎、倉庫、荷捌き上屋、コンテナ検修庫などの設備も整備されています。特に鉄骨造り3階建ての鉄道倉庫は、関西地区向けの新聞ロール紙などの到着・受け入れに使用されてきましたが、近年はネスレ日本のボトルコーヒーなどの輸送にも活用されています。

2024年には、積替ステーションが供用開始されました。このステーションにより、一般のトラックで輸送された貨物を、駅構内でコンテナに積み替えて発送することが可能になりました。これにより、鉄道貨物利用の利便性が向上しています。

取扱貨物

百済貨物ターミナル駅では、コンテナ貨物（12フィート、20フィート、30フィートコンテナ）を主に扱っています。また、産業廃棄物や特別産業廃棄物の取扱許可も取得しています。

駅周辺

駅の北側には大阪市中央卸売市場東部市場があり、かつては百済市場駅が存在していました。近隣には、関西本線（大和路線）の東部市場前駅があります。

隣の駅

• - 平野駅
• - (廃止)百済市場駅

百済貨物ターミナル駅は、大阪南部の物流を支える重要な拠点として、歴史と進化を遂げてきました。これからも、効率的な貨物輸送の維持・向上に貢献していくことでしょう。

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