百瀬宏

百瀬宏（ももせ ひろし）

1932年3月1日生まれの日本の政治学者で、国際関係学、国際関係史、特にフィンランド近現代史を専門としています。津田塾大学と広島市立大学の名誉教授であり、長年にわたり学術界に貢献してきました。

生い立ちと学歴

東京都で生まれ、東京大学教養学部教養学科を卒業後、同大学院で研究を深めました。この間に培われた知識と分析力は、その後の研究活動の基盤となりました。

研究歴と教育活動

東京大学教養学部の助手を務めた後、北海道大学法学部で助教授、教授を歴任しました。その後、津田塾大学学芸学部教授、広島市立大学国際学部教授として教鞭を執り、2005年3月に定年退職しました。研究活動は国内にとどまらず、フィンランドのオウル大学やヘルシンキ大学などでも講義を行い、国際的な視野を広げてきました。

学会活動と受賞

国際関係史学会（CHIR）の日本代表理事、日本国際政治学会の名誉理事を歴任。また、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの名誉研究員、北欧文化協会の名誉会員としても活動しました。2007年には、フィンランド共和国からフィンランド白薔薇勲章騎士一級章を受勲するなど、その功績は国際的にも高く評価されています。

社会貢献

2020年には、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターに百瀬基金を設立し、後進の研究を支援しています。2022年には同センターに百瀬文庫が設立され、研究資源の充実に貢献しています。

主要な研究テーマ

百瀬宏の研究は、国際関係における小国の役割と外交戦略に焦点を当てています。特に、フィンランドの歴史と国際関係を深く掘り下げ、その経験を通じて小国が国際政治でいかに自らの立場を確立し、生き残るかを分析しています。著書『小国――歴史にみる理念と現実』は、このテーマにおける代表的な研究成果です。

主要著作

百瀬宏は、数多くの著書を通じてその研究成果を発表してきました。単著としては、『東・北欧外交史序説――ソ連＝フィンランド関係の研究』（1970年）、『ソビエト連邦と現代の世界』（1979年）、『北欧現代史』（1980年）、『国際関係学』（1993年）、『国際関係学原論』（2003年）、『小国外交のリアリズム――戦後フィンランド1944-48年』（2011年）などがあります。これらの著作は、国際関係学を学ぶ上で重要な文献となっています。

また、『世界の歴史15―ファシズムと第二次大戦』（1962年）、『冷戦―政治的考察』（1963年）、『世界歴史２３　―近代１０　帝国主義時代Ⅱ』（1969年）など、共著も多数あります。

編著としては、『ヨーロッパ小国の国際政治』（1990年）、『東欧　第2版』（1995年）、『下位地域協力と転換期国際関係』（1996年）などがあります。

翻訳書では、マッティ・クリンゲル著『フィンランド小史』（1990年）や、デイヴィッド・カービー著『フィンランドの歴史』（2008年）などの監訳を手掛けています。

研究の意義

百瀬宏の研究は、国際政治における大国と小国の関係を深く理解するために不可欠です。特に、小国が直面する課題や、その外交戦略を分析することで、国際関係の複雑さを多角的に捉えることができます。また、フィンランドの歴史を通じて、国際政治におけるリアリズムの重要性を説いています。

百瀬宏の研究活動は、国際関係学の発展に大きく貢献しており、その業績は今後も多くの研究者や学生にとって重要な指針となるでしょう。

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