百獣大戦アニマルカイザー

『百獣大戦アニマルカイザー』は、2007年9月頃に日本全国のゲームコーナーやショッピングセンターで稼働を開始したアーケードゲームです。バンダイナムコゲームスによって開発され、データカードダスシリーズの一つとして位置づけられています。このゲームの最大の特徴は、「サメ対ライオン、勝つのはどっちだ!?」といったキャッチコピーにも象徴されるように、世界中に生息する様々な動物たちを対戦させるというユニークなコンセプトにありました。登場する動物たちはリアルに描写されていますが、繰り出す技は現実離れしたユニークなものが多数含まれています。

ゲームシステム

ゲームをプレイするためには、3種類のカードを使用します。戦いを担う動物の「アニマルカード」、動物の技を強化する「ストロングカード」、そして特殊な効果をもたらす「ミラクルカード」です。基本的にはこれら3枚を組み合わせてデッキを構築しますが、手持ちのカードが全て揃っていなくても遊ぶことが可能です。ゲームは最大3ラウンドで進行し、各ラウンドでは画面に表示されるスロットをタイミング良く止めることで、動物たちが様々な技を繰り出し、相手の体力を削り合います。先に相手の体力をゼロにしたプレイヤーが勝利となります。勝敗にかかわらず、ゲーム終了時には新たなカードが払い出されます。

カードの種類

- アニマルカード: 動物のイラストと共に、攻撃力や体力、ガッツ技（G）、テック技（T）、パワー技（P）といった固有の技名、そしてスピード、マルチ、ヘビーのいずれかのタイプが記されています。動物ごとに得意な技の系統が異なり、中には独自の特殊能力を持つ個体も存在し、アイコンで確認できます。
- ストロングカード: 主に動物が持つ技のレベル（G技、T技、P技）を高める効果を持ちます。カードによっては、動物に特別な「オーラ」を付加し、能力を一時的に上昇させるものもあります。
- ミラクルカード: バトルの状況を一変させる可能性を秘めたカードです。ミラクルポイントが設定されており、アニマルカードのタイプ（スピード、マルチ、ヘビー）との相性も影響します。さらに、ゲーム展開に有利な影響を与える「ミラクル効果」を持つカードも存在します。

ゲームの特徴と演出

『アニマルカイザー』は、それまでのデータカードダスシリーズで主流だったアニメ・特撮キャラクターに依らない、初の完全オリジナルタイトルとして開発されました。筐体も専用設計の2ボタンタイプが採用され、従来の汎用筐体とは異なる起動やアップデート方式を持っていました。開発はバンダイナムコゲームスの社内スタッフが担当し、『鉄拳』や『機動戦士ガンダム戦場の絆』に携わったメンバーも参加していたと言われています。そのため、登場する動物たちのCGモデルやアニメーションは非常に高品質で、他のキッズ向けカードゲームと比較しても際立った出来栄えでした。

バトルの演出は、写実的な動物CGとは対照的に、非常に荒唐無稽な描写が特徴です。例えば、サメが宙を舞ってサバンナでライオンと戦ったり、陸上の動物が海底ステージで平然とバトルを繰り広げたりします。ミラクルカードによって発動する「超わざ」に至っては、月を落下させたり、ブラックホールや太陽を出現させたり、巨大なラーメンやモアイ、果ては注射器や石焼き芋などを異次元から呼び出して攻撃したりと、常識を遥かに超えた破天荒な表現が満載でした。これらの荒唐無稽な要素は、主要なプレイヤー層であった未就学児童への綿密な嗜好調査に基づいて設計されたものとされています。

シリーズ展開と登場勢力

ゲームは2007年9月の第1弾稼働から始まり、「爆闘！新たな戦士たち」「激闘！最強への挑戦」といった副題を冠した弾を重ね、2010年12月の第14弾「全動物絶体絶命」をもって稼働を終了しました。設置店舗からの撤去は2011年2月中旬頃に進められ、2015年7月には筐体の修理サポートも終了しています。

ゲームの世界には、様々な勢力に属する動物たちが登場しました。「ヒーロー動物」に代表される正義の勢力「ホワイトナイツ」、その敵対勢力である「ダークフォース」、そして「絶滅四天王」「忍動物」「マシンアニマル」「脱獄動物」「銀河侵略動物」などが物語を彩りました。また、長い歴史を持つとされる「歴代アニマルカイザー」も登場し、ゲームに深みを与えています。

登場する動物は、ライオンやトラ、クマ、ゾウ、サメ、ワシといった一般的な動物の他、レオン、ゴルザード、アポロン、カバ太郎のように、個別の名前や設定が与えられたキャラクター化された個体が多く存在し、それぞれが独自の背景や能力を持っていました。一部のキャラクターには「二代目」や「ド根性」「マスター」といったバリエーションも存在し、能力や技が変化しました。また、海外版でのみ登場し、日本版には未収録のアニマルも存在しました。

特殊能力とオーラ

動物固有の特殊能力は、主にバトル中の特定条件下で発動し、相手への妨害（どく、しびれ、きゅうけつなど）や自身の強化（カイザーフラッシュ、ド根性、大キアイなど）、さらには敗北を回避する効果（死神召喚、ゼロサバイバーなど）など、多岐にわたります。ストロングカードのオーラ効果は、一時的な体力回復や攻撃・防御の上昇をもたらし、オーラ爆発時には効果が最大限に発揮されました。

主題歌など

ゲームの主題歌「めざせ！アニマルカイザー!!」は、アニメソング界で知られる串田アキラ氏が歌唱を担当しました。この楽曲はゲーム中のデモ画面やボス戦クライマックスで流れ、プレイヤーを盛り上げました。ゲームのBGMと共に収録されたアルバム「アニマルカイザー音獣録」も発売されています。

日本国外では、台湾で「百獸大戰」、フィリピンやマレーシアなどアジア数カ国で「ANIMAL KAISER」としてローカライズ版が稼働しました。海外版では日本版とはカード排出のタイミングや登場する動物が異なるなどの調整が行われていました。

『百獣大戦アニマルカイザー』は、その斬新なコンセプトとユニークな演出、そして高品質なCGで多くのファンを獲得しましたが、シリーズとしては第14弾で一旦終了しました。その後、2012年からは後継機となる『百獣大戦グレートアニマルカイザー』が稼働を開始し、新たな動物たちの戦いが繰り広げられることとなります。

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