モアイ

モアイ（Moai）

モアイとは、チリ領イースター島に存在する人面を模した大きな石像であり、主に「アフ」と呼ばれる高台に設置されています。これらの像は海に背を向けて立っており、かつての住居跡を囲む形で配置されています。モアイの大きさには多様性があり、大半は高さ約3.5メートル、重さ約20トンですが、最大では20メートル、重さ90トンにも達するものが存在しています。島で産出される凝灰岩で作られたモアイの総数は約900体に達し、現在アフに立っている30体は近代に復元されたものです。

モアイの造形は時代によって異なり、初期のものは比較的小型で、高さ3メートル程度。時代が進むにつれて大型化し、特に後期のものには赤い石でできた「プカオ」が頭部に乗せられ、一部には目らしき造形も見られます。これらの像が立てられた目的は主に祭祀であるとされていますが、具体的な使用法については諸説があり、明確な合意はまだありません。

建設方法

モアイの材料は凝灰岩であり、採石の主要な場所は「ラノ・ララク」と呼ばれる噴火口跡です。この地域には、未完成の像や彫刻道具が残されており、運搬ルートは北、南、そして西の三方向に延びています。考古学者のヘイエルダールが行った実験では、横倒しにした像を木の「ころ」に乗せて移送し、最終的に立てる方法が実証されました。これにより当時の技術でも十分に運搬が可能であったことが示されています。

また、古代の島民たちは、石の大型物を運ぶための特別な道具を使っていたという伝承があります。しかし、最近の研究では、モアイはそのままの状態で運ぶ方法が効率的であったことも示されています。運搬に使われた資源や技術は、島の歴史の重要な要素です。

環境問題

イースター島はかつて繁茂した森林に覆われていましたが、現在ではその面影はありません。研究によれば、島民による乱伐が森林消失の一因と考えられています。木材は燃料やカヌー、住宅など様々な用途に使われ、またモアイを立てるための祭祀が盛んだったため、さらに森林伐採が進みました。これにより、土地の浸食が進み、食糧資源を巡る部族間の緊張が高まり、像の建立が加速するという悪循環に陥りました。最終的には人口が激減し、モアイの建設が行われなくなりました。

このような状況から、現代でも環境問題の警鐘としてモアイの存在が挙げられていますが、部族間の抗争がどの程度実際に存在したのかは依然として議論の余地があります。

盗難と犯罪

観光名所であるモアイ像は、特に観光客による傷害行為や落書きが絶えず問題視されています。法律により、これらの行為には厳しい罰則が設けられており、観光客に対して注意喚起が行われています。特に日本人観光客による事件など、トラブルも過去にいくつか発生しています。

復元の取り組み

20世紀以降、モアイの復元に対する努力も進められており、一部の像は考古学者や地元住民の手によって復元されています。日本企業タダノが行った復元作業は特に注目されており、地域の協力を得ながらモアイの修復が行われています。

まとめ

モアイはただの文化財でなく、歴史や環境問題、地域住民との関係において多くの物語を持つ存在です。その謎に満ちた背景と現在の取り組みは、今後も多くの人々の関心を引き続けるでしょう。

もう一度検索