百間樋

百間樋（ひゃっけんび）

兵庫県西宮市にある百間樋は、農業用水として重要な役割を果たしてきた灌漑用水路です。その歴史は、地域の人々が水不足に苦しんでいた時代に遡ります。

百間樋の誕生

当時、田んぼの水源に困っていた人々は、武庫川から天井川である仁川を横切るように川底を掘り進め、木製の樋を設置しました。これが百間樋の始まりです。この画期的な灌漑施設によって、大市庄の5つの村（段上、上大市、下大市、門戸、高木）は安定的に水を得られるようになりました。

井組の組織

水を得た5つの村は、井組と呼ばれる共同組織を結成し、自らを「井親（ゆおや）」と称しました。その後、旧瓦林村の上瓦林、御代、下瓦林、さらに今津、津門、芝、広田、中村、旧西宮の9つの村が「井子（ゆご）」として井組に加わりました。

水利権と負担

井組への加入には、厳しい条件がありました。干ばつ時でも井親は優先的に水を利用できましたが、井子は余った水しか利用できませんでした。また、井子は毎年、井料として井親に米と酒を納める必要がありました。この不公平な水利権は、1953年（昭和28年）に廃止されるまで続きました。

現在の百間樋

現在、百間樋は、当初から管理運営を行ってきた井組の5つの村によって管理されています。1957年（昭和32年）からは、農業用水だけでなく、水道用水としても利用されるようになりました。百間樋は、地域にとって欠かせない存在となっています。

名前（百間樋）の由来

百間樋の名前の由来は、使用された木製の樋の長さにあります。その長さが約100間（約180メートル）であったことから、「百間樋」と呼ばれるようになりました。

まとめ

百間樋は、地域の人々の知恵と努力によって作られた灌漑施設であり、農業用水だけでなく水道用水としても利用されるなど、地域社会にとって重要な役割を果たしています。その歴史は、水資源の重要性と、地域社会の共同体のあり方について私たちに教えてくれます。

参考資料

[環境学習参考情報]歴史・文化環境 - 甲東（学習都市・にしのみや エココミュニティ情報）掲示板 - ウェイバックマシン（2017年12月23日アーカイブ分）

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