的場昭弘

的場 昭弘 (まとば あきひろ) - 日本の経済学者

的場 昭弘は、1952年10月25日に宮崎県で生まれた経済学者で、主に社会思想史を研究する専門家である。現在は神奈川大学経済学部の教授を務めており、過去には同大学の図書館長やアソシエ21の事務局長も経験した。日本におけるマルクス経済学の研究において重要な役割を果たしている。

学歴とキャリア

彼は広島県で幼少期を過ごした後、1984年に慶應義塾大学大学院経済学研究科の博士課程を満期退学し、一橋大学社会科学古典資料センターの助手となる。以降、1987年には東京造形大学の助教授、1988年に慶大経済学博士を取得し、その後神奈川大学短期大学部の助教授を経て、1994年に教授に昇進した。2000年に短大が廃止された後は、神奈川大学経済学部教授として教育に貢献している。また、新MEGAの編集作業に関わり、特にベルリンやモスクワなどの国際的なチームと共に歴史的な資料の整理に尽力した。

学生時代と影響

大学に入学した際、「経済学批判」をテーマにした遊部久蔵ゼミに参加。さらに、ドイツ語の『マルクス・エンゲルス全集』を購入するなど、マルクスの思想に深い興味を持ち続けている。卒業論文は「ソ連における一九六五年の経済改革」であり、大学院では経済理論を専攻した。修士課程では、エルネスト・マンデルの著作を翻訳し、博士課程ではザグレブ大学に留学してマルクスとトリーアの関係を研究した。

主張と思想

近年、的場は特に国際問題に関する意見を表明しており、2022年のウクライナにおけるロシアの侵攻についても自らの見解を示した。彼は、「ウクライナは民族の主権国家ではなく、中立的な連邦国家としての立場をとるべき」であり、またドンバス地方の独立を認めるべきだと主張した。この見解は、国際社会におけるダブルスタンダードに対する批判が込められている。西側諸国がロシアの行動だけを一方的に非難することに対して、歴史的な経緯に基づいた観点から疑問を呈している。

著作と試み

的場は多くの著作を執筆しており、主にマルクス関連の研究や社会思想に関する書籍が多い。代表作には『トリーアの社会史——カール・マルクスとその背景』（1986年）や『超訳『資本論』』（2008 - 2009年）などがある。彼の著作は、経済学や社会思想の理解を深めるための重要な資源とされている。また、翻訳活動にも積極的で、エルネスト・マンデルの著作や「共産党宣言」の新訳など、様々な著作を翻訳している。さらに、彼は漫画や図解形式の資本論入門書など、教育的な試みも行っている。教育者としての使命感を持ちながら、彼の研究は現代の経済問題にも根ざす深い洞察を提供している。

結論

経済学や社会思想の分野で理論的な貢献を続ける的場昭弘は、多くの著作や国際的な視点から問題提起を行っており、その思想は今後の経済学の発展にも影響を与え続けるだろう。

もう一度検索