ザグレブ大学

ザグレブ大学の概要

ザグレブ大学（クロアチア語: Sveučilište u Zagrebu, ラテン語: Universitas Studiorum Zagrabiensis）は、クロアチアの首都ザグレブに所在する、同国最大の国立大学です。1669年の創設以来、クロアチアで最も古い大学であり、南東ヨーロッパ地域においても歴史ある教育機関として知られています。その長い歴史の中で、数多くの知識人を育成し、クロアチアの学術・文化の発展に大きく貢献してきました。

歴史

イエズス会学校としての起源

ザグレブ大学の起源は、1669年にハプスブルク家のレオポルト1世によって設立が認可されたイエズス会学校に遡ります。当時のクロアチアはハプスブルク帝国の支配下にあり、この学校はネオアカデミア・ザグラビエンシスとして正式な高等教育機関としての地位を得ました。イエズス会によって運営されたこの学校は、1773年のイエズス会解散まで1世紀以上にわたり、教育の中核を担いました。

1776年には、マリア・テレジアによって王立科学学校が設立され、哲学、神学、法学の3学部が設置されました。これにより、学校はより幅広い分野を網羅する教育機関へと発展しました。その後も組織変更を繰り返しながら、1874年までクロアチアの知識人層を育成する中心的な役割を果たし続けました。

大学としての発展

1861年、司教ヨシプ・ユーライ・シュトロスマイエルが大学設立を提唱し、1874年にフランツ・ヨーゼフ1世によって大学設立法が承認されました。同年10月19日、王立フランツ・ヨーゼフ1世大学として正式に開校し、当時はハンガリー領内で3番目の大学となりました。設立当初は、法学部、神学部、哲学部、医学部の4学部で構成されていました。

医学部は当初大学の機能には含まれていませんでしたが、1917年に正式に設立されました。また、哲学部の領域は科学分野全般をカバーしており、1876年から地質学、植物学、物理学、数学、化学、1877年からは動物学、1882年からは薬学、1883年からは地理学が加わりました。

1860年以降、他大学の吸収も進み、1898年には林業大学が哲学部の一部として開設され、哲学部は専門領域を網羅する学部となりました。その後、1919年には林業学部が農林学部として独立、さらに技術学校や獣医学学校が設置され、それぞれ1925年と1926年にザグレブ大学の学部として編入されました。

学部再編

1920年代には、哲学部の大規模な再編が実施されました。1928年に数学科と薬学科が分離したのを皮切りに、他の科学部門も順次分離し、哲学部の名称はFilozofski fakultet（哲学部）に変更されました。1926年時点では、神学部、法学部、医学部、哲学部、哲学科、薬学科、農林学部、獣医学部、工学部の7学部が存在していました。

第二次世界大戦中には、クロアチア大学としても知られました。哲学部の各学科は、1942年、1946年（理学部開設）、1963年に順次独立し、学部となりました。また、工学部も1956年に建築・測地学部、電気工学部、機械工学部、食品化学技術開発部の4学部に分割されました。

組織と運営

設置学部

現在、ザグレブ大学には29の学部と3つの芸術学校、そしてクロアチア学を学ぶセンターが設置されています。これらの学部は、人文科学、社会科学、自然科学、工学、医学、芸術など、幅広い分野を網羅しています。

運営組織

大学は、評議会、大学協議会、学長コレギウム、学長の4つの機関によって運営されています。

評議会 (Senate)：70名の定員で構成され、学長、職員、学生代表が含まれます。大学の運営方針を決定し、学長の選出も行います。
大学協議会 (University Council)：大学の監督機関として、運営を監視し、関連する議論を行います。評議会とは異なり、大学の方針決定には直接関与しません。
学長コレギウム (Rector's Collegium)：学長の意思決定を補佐する機関で、学長、副学長、各学術分野の協議会代表、学生代表で構成されます。
学長 (Rector)：大学の最高責任者であり、4年の任期を持ちます。学長は5名の副学長を推挙し、評議会の承認を得ます。

学生・教員

総学生数は約72,480人で、これは国内の大学生総数の約48.5%に相当します。ザグレブ大学は、これまでに20万人以上の学士号取得者、1万8千人以上の修士号取得者、8千人以上の博士号取得者を輩出してきました。教員数は7,915人に上ります。

主な出身者

アントゥン・ショリャン - 作家
越村勲 - 東欧史学者
マリヤ・ヴチコヴィッチ - 農業大臣
ドラジェン・フラスティッチ - 外交官、大使
* ミラ・マルティネツ - 外交官、大使

まとめ

ザグレブ大学は、その長い歴史と伝統の中で、クロアチアの教育と研究を牽引してきました。国内最大規模の大学として、これからも多くの人材を育成し、学術・文化の発展に貢献していくことが期待されます。

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