皇子山古墳群

皇子山古墳群について

皇子山古墳群は、滋賀県大津市錦織の独立丘陵「皇子山」に築かれた古墳の集まりで、国の史跡として指定されています。この史跡は、標高164メートルの丘陵に築かれた2基の古墳から成り立っています。ひとつは形状が前方後方墳で、もうひとつは円墳です。この古墳群は、古墳時代前期に起源を持ち、特にその文化的な価値が評価されています。

立地と構造

皇子山古墳群は、滋賀県の南部、琵琶湖の西岸に位置しています。前方後方墳の1号墳と、円墳の2号墳はこの丘陵の一部として作られました。特に1号墳は、丘陵の最高所に存在し、その造りは古墳時代前期の典型的なものです。さらに1号墳は、墳丘主軸が南北方向に並び、前方部を南側に向けています。この配置は、琵琶湖からの視覚的な側面を考慮したものとされています。

また、1号墳の外壁には葺石が施されており、特に東側の方が丁寧に作られていることから、湖からの眺めを意識したデザインと考えられています。埋葬施設に関しては、未調査の部分が多いものの、後方部に4基、前方部に1基の施設が認められ、埋葬の方法にも興味深い研究対象とされています。

古墳群の歴史

この古墳群は、1964年と1970年に発掘調査が行われ、その結果が古墳群の重要性をさらに浮き彫りにしました。1974年には「皇子山古墳」の名称で国の史跡に指定され、1981年から1985年にかけては、古墳公園として整備されることで、一般に公開されるようになりました。

古墳の詳細

1号墳

皇子山1号墳は、この古墳群のメインとなるもので、前方後方墳です。その大きさは墳丘長が約60メートル、後方部幅は約35メートル、前方部幅が約28メートルです。古墳時代前期の4世紀後半に築造されたとされ、滋賀県における珍しい前方後方墳の例として注目されています。被葬者は明確ではないものの、和邇氏との関係性が指摘されることもあります。

2号墳

2号墳は1号墳の北東側にあり、円墳の形態を持っています。直径は約20メートルで、墳丘裾には溝が確認され、上部には埋葬施設として考えられる土壙が3基発見されています。築造時期は古墳時代前期の3世紀末頃と推定されています。

文化財としての価値

皇子山古墳群は、その歴史的背景と考古学的価値に加え、地域の文化遺産として重視されています。国に指定されている史跡として、多くの研究者や観光客が訪れています。このように、古墳群の保存や研究は、地域の歴史を理解する上で欠かせない要素となっており、古墳公園としての整備も進んでいます。

おわりに

古墳群は、日本の古代史を紐解く重要な鍵を握っています。皇子山古墳群は、その魅力的な構造や歴史的背景から、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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