皇居外苑汚物散布事件

1990年11月21日、東京都千代田区で、皇居外苑汚物散布事件が発生しました。この事件は、新左翼の戦旗日向派（現在のアクティオ・ネットワーク）によって引き起こされたテロ事件です。

事件の発端は、1990年11月23日に予定されていた第125代天皇明仁の大嘗祭でした。新左翼各派は、この即位の礼と大嘗祭に反対し、日本各地でテロ事件を頻発させていました。

事件当日、戦旗日向派の活動家である川添達雄と運転手は、糞尿を積載した散水車で八丁堀方面から皇居外苑に向かいました。午前11時15分、散水車は二重橋前交差点を右折し、内堀通りの中央分離帯に横付けされました。川添らは、「大嘗祭を粉砕するぞ！」と叫びながらアジビラを撒き散らし、その後、散水車の栓を抜いて、中に積んでいた糞尿を路上に垂れ流し始めました。さらに、ポリバケツで糞尿をすくい、まだ汚れていない場所に撒くなど、より広範囲に汚物を広げようとしました。現場は異臭に包まれました。

警察官が駆けつけると、川添は警察官にバケツの中身をかけるなどして抵抗し、できるだけ長く糞尿が路上に広がるように努めました。しかし、最終的にはバケツが空になった隙を突かれ、糞尿まみれで逮捕されました。

川添らは、道路交通法違反、廃棄物処理法違反、そして公務執行妨害で起訴され、懲役10月、執行猶予3年の有罪判決が下されました。

この事件により、実行犯の川添は「ふん激戦士」という異名を持つことになりました。事件に使用された糞尿は、運転手の実家が経営する群馬県内の牧場から調達されたものでした。

参考文献:
川添達雄『私がふん尿にまみれた日』（文人正『ぱるちざん戦記 遥かなる日々』実践社、2001年）

関連事項:
新左翼

この事件は、社会変革を求める過激な思想が、時に常軌を逸した行動につながることを示す事例として、歴史に刻まれています。また、大嘗祭という伝統行事に対する異論が、テロという手段に訴えられた事件としても、注目すべき点があります。

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