皖南事変

皖南事変の概略

皖南事変（かんなんじへん）は1941年に中国の安徽省南部で起こった、国民党軍と中国共産党軍との衝突を指します。この衝突は具体的には国民党軍と新四軍の間での交戦であり、事件の発生とその後の展開は、中国の内戦と第二次世界大戦に大きな影響を与えました。

背景

事変の背景には、中国共産党が1938年に設定した勢力拡大の方針があります。当時、共産党の拠点は延安や華北地域に限定されており、中国南部、特に江南地域は国民党の影響下にありました。新四軍は設立当初は限られた兵力しか持っておらず、事変発生までに抗日義勇軍との協力体制が進められていましたが、国民党系の軍事勢力との摩擦が予想されていました。

その中で、黄河以南に進出した共産党勢力は、江蘇北部において国民党勢力と衝突し、実質的には内戦に近い形で戦闘が繰り広げられました。この時期、国共合作の理想とは裏腹に、両勢力は互いに対立を深めていきました。

事変の発端

1940年10月19日、国民党の蔣介石は新四軍に対し、黄河以北への移動命令を出しました。しかし、共産党側はこの命令を拒否しました。このやりとりが、さらなる緊張を引き起こすきっかけとなりました。

事変の経過

1941年1月4日、新四軍の9000名は安徽省南部で国民党軍に包囲されます。結果として、7日間の激闘の末に2000名が何とか脱出しますが、6000名以上の casualtiesが発生しました。共産党の軍長である葉挺は捕えられ、副軍長は部下の裏切りにより命を落としました。

事後の影響

共産党はこの事件を「国民党による反共クーデター」として宣伝しました。この宣伝は国際的な支持を得るうえで効果を発揮しましたが、実際には国共合作は完全には放棄されていませんでした。事変後、共産党は新四軍を再編成し、次第に華北の拠点を拡充していきます。

一方で、国民党側はこの事変を「新四軍の反乱」と称し、戦闘を否定ましたが、共産党のプロパガンダの影響により国際的には支持を失い、さらに内戦の様相を呈する結果となりました。日本軍の動向も同時に影響を受け、華北での戦闘が激化しました。

結論

皖南事変は、国民党軍と共産党軍の間の緊張関係が頂点に達した事件であり、その後の中国の抗日戦争や内戦に深い影響を残しました。また、国共合作の形は変わることなく続きましたが、両者の対立は不可避であることが明らかになりました。この出来事は、単なる軍事衝突にとどまらず、中国の戦後政治にも重大な影響を及ぼしたのです。

もう一度検索