葉挺

葉 挺（よう てい、イェー・ティン）の生涯

葉挺（1896年9月10日 - 1946年4月8日）は、20世紀の中国において重要な役割を果たした軍人です。主に中華民国の南方政府や国民政府（国民革命軍）に属し、特に粤軍（広東軍）にそのルーツを持っていました。彼は初め中国国民党に加盟し、その後中国共産党にも関与するなど、政治的にも多様な立場を持ったといえます。葉挺の名は南昌起義の指導者として広く知られており、新四軍の軍長としても有名です。

初期の教育と軍歴

葉挺は恵陽県中等蚕業学校で学んだ後、広州陸軍小学に転入しました。1914年には湖北陸軍第二予備学校に入学し、1916年からは保定陸軍軍官学校の工兵科に在籍しました。1918年には粤軍に加わり、1919年には中国国民党に入党することとなります。彼はその後、順調に昇進を続け、1923年には憲兵司令部の参謀長兼第1営営長に就任します。

国民党から共産党への転機

1924年秋、葉挺はソ連を訪れ、東方大学で学びながら中国共産党に入党しました。在ソ期間を経て1925年に帰国し、国民革命軍第4軍の参謀処長としての役職を得ることになります。その後、彼は第4軍第12師第34団の団長に就任し、独立団に改編された団の指揮をとります。1926年5月、彼が指揮した独立団は北伐の先遣隊として戦い、湖北省での呉佩孚軍との戦闘で顕著な戦果を上げました。

南昌起義とその後

1927年には武漢国民政府が成立し、葉挺は第4軍の第24師師長や、武漢衛戍司令などの要職を歴任しました。しかし同年の8月1日、彼は南昌起義を指導して共産党側に転向し、国民革命軍から離脱します。その後、広州での起義にも参加しましたが失敗し、欧州へ逃れました。この影響で彼と共産党との関係は一時的に途絶えます。

日中戦争と新四軍

1937年に日中戦争が勃発すると、葉挺は中国に戻り、抗日戦争に参加します。彼は新編第4軍、通称新四軍の軍長に任命され、戦闘を指揮します。しかし、この軍隊は紅軍主体の部隊であったため、蔣介石から疑いを持たれるようになりました。1941年1月14日、葉挺が指揮する新四軍は、国民党軍に包囲され、壊滅的な打撃を受けました。

捕虜からの解放と死

その後、葉挺は各地で拘禁され続け、1946年3月4日に釈放されました。そしてその3日後に共産党に再入党しましたが、同年4月8日、彼は延安への帰路に着く途中、航空機の事故で命を落としました。享年49歳の短い生涯でしたが、彼の功績は現在も記憶されています。

顕彰

葉挺の業績を称えるため、彼が指揮した独立団は「葉挺独立団」と名付けられ、中国人民解放軍陸軍第379連隊のルーツとなっています。また、第127師団は「鉄軍」としての名を受け継いでいます。彼の名前は、今も多くの中国人の心に刻まれています。

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