盤古の斧

盤古の斧について

中国神話の中で非常に重要な役割を果たす盤古の斧（ばんこのおの）は、創世神・盤古が天地を開いた際に使ったとされています。ただし、古代の文献にはそのような特定の名称は出てきません。現代において広く知られるその名は、後の文学作品や民間伝承に由来しています。

名称の由来

最も古い記録とされる三国時代の徐整による『三五歴記』では、盤古が斧を使用したとの記述は見当たりません。実際、天地の開闢は彼の身体が成長することで達成されたとされています。このことからも、後世の解釈の変遷が見受けられます。

「開天斧」という呼び名は、明代の文学作品『封神演義』や『西遊記』における二次解釈、さらに清代の『開闢衍繹』において初めて使用されるようになりました。これらは道教の宇宙論と密接に関わっており、文化的な背景を持った名称に進化しました。また、「盤古斧」という名前は現代の一般的な理解によるものであり、学術的な文献ではあまり使われていません。

神話中的描写

三国から六朝時代にかけての記録、特に『三五歴紀』や『五運歴年記』では、盤古の創世行為は道具の使用を通じてではなく、自然界から分離された気の産物として描写されています。当初は盤古の身体だけが天地を形成する役割を果たしていたと考えられています。

しかし、明代に入ると状況が変化し、盤古が斧を使う姿が初めて明記された文が現れます。『開闢衍繹』の第十八回では、「斧と鑿を振るって陰陽を分けた」と表現され、擬人化された盤古の神話が成立しました。これにより、斧は天地を切り分ける象徴的な存在へと進化を遂げたのです。

道教との関係

東晋の時代に書かれた葛洪の『枕中書』では、盤古が元始天王と同一視される場面が見られますが、特定の神器としての記述はありません。唐代以降の道教の儀礼書の中では、斧が天地を分ける象徴として登場することがしばしばありますが、その名称はあいまいなままです。

このように、盤古の斧は時代とともにその解釈や象徴性が変化していきました。

後世への影響

盤古の斧は、日本の天地開闢神話におけるイザナギの矛との比較研究の中でも言及されることがあり、文化的な相似性が探求されています。また、現代のゲームや漫画作品では「万物を切断する神器」として新たな解釈をされ、幅広い人気を得ています。このように、盤古の斧は時を経てもなお、多くの人々に影響を与え続けています。

関連項目

• - 架空の武器

脚注

• - 参考文献

- 『三五歴記』 徐整 著（三国時代）
- 『開闢衍繹』 周遊 著（明）
- 『中国神話伝説大辞典』 袁珂 編 1998年
- 『道教神学体系研究』 福井文雅 著 2005年

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