目競

目競（めくらべ）について

目競は、日本の妖怪の一つで、鳥山石燕による妖怪画集『今昔百鬼拾遺』に登場します。この妖怪は、歴史的にも重要で、平清盛が体験したとされる不気味な出来事に端を発しています。興味深いことに、この存在は『平家物語』の中の「物怪之沙汰」にも言及されています。

概要

物語は、福原（現在の神戸市兵庫区）の都での朝の光景から始まります。ある日、武将の平清盛が自らの帳台を出て中庭を見渡すと、死者の髑髏が無数に転がっている光景が広がっていました。しかも、その髑髏たちはまるで生きているかのように動き続けていたのです。清盛はこの恐怖に驚き、大声で周りの人を呼びましたが、誰も応じることはありませんでした。

その内に、無数の髑髏が一つに合体し、驚くべきことに、14〜15丈（約42〜45メートル）もの巨大な髑髏に姿を変えました。大きな髑髏は、無数の目を清盛に向けて睨みつけ、彼の心に恐怖を植え付けました。しかし、清盛は勇気を振り絞り、その目を強く見返しました。すると、大髑髏は太陽の光に溶け込むかのように消えていったというのです。

名前の由来

「目競」という名前は、原典である『平家物語』には登場せず、鳥山石燕が自らの作品で名付けたものです。同じく、巖谷小波による『大語園』では「髑髏の怪」として紹介されています。さらに、江戸時代には清盛とこの妖怪との睨み合いに基づく遊びが「目競」と名付けられ、これが「にらめっこ」として親しまれるようになったという説もあります。

絵画作品

目競のエピソードを描いた作品は他にも存在します。月岡芳年による『新形三十六怪撰』や『新容六怪撰 平相国清盛入道浄海』がその例です。前者では、襖と月を背景に清盛が数百の人頭を目の当たりにする様子が描かれており、後者では雪の塊によって大髑髏が表現されています。これらの作品は、この妖怪が人間の妄想の産物であるかのように解釈されることもあります。

結論

目競（めくらべ）は、ただの妖怪としてではなく、日本の歴史や文化に深く根ざした意味を持つ存在です。この伝説は、平清盛という歴史的人物との結びつきにより、妖怪の世界を超えて多くの人々に語り継がれています。興味を持った方は、ぜひこの妖怪にまつわる作品や伝説をもっと探求してみてはいかがでしょうか。

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