直指流 (豊後府内藩)

直指流剣道の歴史と流派の継承

直指流（じきしりゅう）は、江戸時代に創設された伝統的な剣道流派です。この流派は、山中平内重政に始まり、長谷川十郎左衛門紀隆によって広まっていきました。直接的な伝承先として、豊後岡藩や豊後府内藩があり、それぞれに多くの弟子が受け継いできた豊かな歴史があります。

始祖と系譜について

直指流の始祖である山中平内重政は、慶長10年（1605年）に誕生し、剣術の修業を求めて旅を重ねました。数々の流派を探求したものの、十分に体得することができず、最終的には丹波の地に隠居し、独自の剣術を工夫して直指流を創設しました。山中平内は93歳で没するまで、その剣術の奥義を追求し続けました。

その後、二世である長谷川十郎左衛門紀隆が平内の教えを受け継ぎ、剣術の達人となります。中年期には阿州藩や摂津麻田藩にて指南役を務め、大阪に移り住み、多くの弟子を育てました。彼も老年期には石連寺村に身を隠し、享保の初めに78歳で亡くなりました。紀隆の教えを受けた弟子や流派の広がりが、直指流のさらなる発展を促しました。

伝授の内容

直指流では、始祖山中平内が選定した28種類の流派と、剣術の要となる15本の剣技が教えられました。これには特定の伝授書や兵法指南書が含まれ、具体的な技術や理合が文書化されています。剣の扱いに関する詳細や体術の技法が記載されており、伝承には多くの体系的なアプローチがあります。

藩ごとの継承

直指流は、豊後岡藩では堀加治衛門から小嶋傳平、桂左門、谷澤太、田近十左衛門を経て、さらに横田紋三郎などが剣術免許を受け継ぎました。一方、豊後府内藩では、寛保の頃に小嶋傳平から木戸民右衛門、高橋丈右衛門が免許を受け、次第に木戸孫九郎周昌、周恒、周保、中尾直勝といった継承者が続きました。こうした流派の伝承は、地域に根付いた教育体系であったと言えます。

逸話と影響

直指流にまつわる逸話として、山中平内の壮大な体躯やその出自に関する伝説があります。平内は身の丈6尺とも言われ、また山中鹿之助の子であるとされるが、それを裏付ける資料はありません。一方、長谷川十郎左衛門は志摩氏の家臣だったとのこと。彼は、恩賞の欠如を理由に浅野家を離れ、公義のために自らの命を絶つ選択をしました。これにより、彼の生涯には多くのドラマが見られます。

その後、1860年には岡田以蔵が豊後岡藩で直指流を学んだことが記録されています。このように、時代を超えて流派が存在感を持ち続け、現代に至るまでその影響が及んでいます。

おわりに

直指流剣道の歴史は、始祖の教えを受け継ぎ、弟子たちの努力によって築かれてきたものです。流派は地域ごとに独自の発展を遂げつつ、今なお多くの剣士たちに受け継がれています。

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