直示天秤

直示天秤について

直示天秤（ちょくしてんびん）は、試料の質量をデジタルで表示できるようにした自動化された手動天秤です。この装置は1945年にエアハルト・メトラーによって発表され、その数年後、日本の島津製作所が1948年に導入しました。この技術の進展は、化学や薬学の分野で広く用いられていた上皿天秤からの置き換えを促進しましたが、最近では電子天秤にその役割を徐々に引きつぎつつあります。

直示天秤の原理

直示天秤は、天秤の基本的なメカニズムを利用して質量を測定します。この装置では、測定する試料を片方の皿に載せ、もう一方には基準となる分銅を配置します。両者の釣り合いが取れた際の分銅の質量から、試料の質量を計算することが可能です。このような天秤は古典的な手動天秤と呼ばれ、使用者は手動で分銅の選択を行います。

手動天秤と自動化

直示天秤は、この手動天秤の原理を自動化したもので、多くのモデルが不定比定感度型と呼ばれる設計を採用しています。不定比とは、支点から試料までの距離と分銅までの距離が等しくないことを意味し、定感度とは、支点にかかる力が試料の質量に依存せず一定であることを示します。定感度型の直示天秤では、試料皿と同じ側にあらかじめ計測用の多数の分銅を装備し、反対側には一定の質量を持つ固定錘を置きます。試料を皿に載せた際、少量の分銅を取り除いて釣り合わせる仕組みです。

このように定感度型の直示天秤は、支点にかかる力の変化が材料の変形や摩擦力の変化に影響されず、より精密な計測が可能です。そのため、計測の誤差が生じにくいという利点があります。

直示天秤の発展と現状

直示天秤の導入以来、様々な状況での応用が進み、特に研究機関や産業界では、高精度の質量測定が求められる場面で活躍しています。しかし、電子天秤の普及により、直示天秤は徐々にその使用頻度が減少しています。電子天秤は、より高速で操作が簡便なため、多くの現場で優先されつつある傾向があります。

現在、直示天秤の詳細については、計量標準総合センターの文書や関連企業の情報など、さまざまな資料で学ぶことができます。具体的には、計量管理協会が発行する『重さの計測』や、産業技術総合研究所が提供する資料が参考になります。

参考文献

• - 計量管理協会 編『重さの計測』コロナ社、1986年
• - 産業技術総合研究所計量標準総合センター

直示天秤は、今後も研究や産業において重要な役割を果たすことが期待されています。

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