直行 (列車)

直行列車：正式名称と俗称の二面性

「直行」は、列車種別の一つとして、そして俗称としても使われてきた歴史を持つ言葉です。近年の使用例としては、近畿日本鉄道（近鉄）生駒鋼索線（山上線）の臨時列車に見られます。宝山寺駅から生駒山上駅までノンストップで運行されますが、普通列車と所要時間に大きな差はありません。しかし、この「直行」という名称の背景には、国鉄時代やその他の私鉄における様々な運用と歴史が隠されています。

列車種別としての「直行」

近鉄生駒鋼索線

行楽シーズンの土日を中心に、臨時で「直行」列車が運行されます。これは、ケーブルカーである生駒鋼索線において、始発駅から終点駅まで停車駅を設けずに運行される列車を指します。

国鉄時代の「直行」

国鉄時代には、「直行」は複数の路線で、異なる意味合いで使用されていました。

阪和線: 1950年代後半、優等列車名称改正に伴い、それまで阪和線で用いられていた準急や急行といった種別を統合する形で「直行」が誕生しました。当初は主要駅のみ停車でしたが、ラッシュ時には各駅停車となるなど、運用に変化が見られました。後に「区間快速」に改称されています。
貨物列車: 1970年代後半から1980年代半ばにかけては、貨物列車にも「直行」の種別が用いられました。高速貨物列車に次ぐ種別として設定されましたが、鉄道貨物輸送の縮小に伴い、他の種別と統合され廃止されました。

その他の私鉄における「直行」

南海電気鉄道、近畿日本鉄道名古屋線・山田線、京阪本線、能勢電鉄妙見線、西日本鉄道天神大牟田線などでも、過去に「直行」という種別が使用されていました。これらの路線では、それぞれ異なる停車駅設定や運行形態で「直行」列車が運行されていました。特に西鉄天神大牟田線では、朝ラッシュ時の回送列車を客扱いした「直行」列車が、ノンストップ運行や一部駅停車など、運行形態の変更を経て運行されていました。

俗称としての「直行」

「直行」は、正式な列車種別以外にも、俗称として使われる場合があります。特に1950年代頃までは、長距離を運行する機関車牽引の客車列車を指す場合がありました。これは、停車駅が少ない快速運転を行う列車を、近距離の普通列車と区別するために用いられたと考えられます。

まとめ

「直行」は、時代や路線によって異なる意味や運用で用いられてきた列車種別、あるいは俗称です。近年の使用例は少ないものの、その歴史を紐解くことで、日本の鉄道の変遷の一端を垣間見ることができます。それぞれの路線における「直行」の具体的な停車駅や運行形態は、時代や状況によって変化していたため、詳細な情報は当時の資料などを参照する必要があります。

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