相原求一朗

相原 求一朗（あいはら きゅういちろう）

相原求一朗（1918年12月3日 - 1999年2月5日）は、冬の北海道の情景を描いたことで名高い日本の洋画家です。埼玉県川越町（現在の川越市）に生まれ、彼は新制作協会の会員としても知られています。彼の作品は、自然の美しさを捉えた詩的な表現が特徴です。

生い立ちと教育

求一朗は、父・茂吉と母・よしのもとに生まれ育ちました。本名は相原久太郎ですが、後に求一朗と改名します。家庭は農産物の卸問屋を営んでおり、彼は恵まれた環境の中で成長しました。1936年には川越商業学校を卒業し、商業美術に携わる教師の指導を受けて油彩を学びました。東京美術学校への進学を望みましたが、父の反対にあい、家業を継ぐ道を選びます。

戦争と転機

1940年、求一朗は21歳で兵役に就き、第二次世界大戦中に旧満州やフィリピンなどでの戦闘を経験します。1944年、フィリピンからの帰還途中に搭乗した飛行機が沖縄沖で墜落し、重傷を負いましたが、漂流中に救助されます。この経験は彼の後の創作活動に多大な影響を与えました。

芸術家としての道

戦後の1948年、仕事の関係で大国章夫に出会い、抑圧されていた絵画への情熱が再燃します。同年、猪熊弦一郎に師事し、1950年には「白いビル」で新制作展に初入選します。1961年には北海道への写生旅行に出かけ、満州での体験を通じて自身の原風景を再発見します。

1963年には「原野」や「ノサップ」などの作品で第27回新制作協会展で新作家賞を受賞し、1968年には新制作協会の会員に名を連ねます。1974年には第1回東京国際具象絵画ビエンナーレに招待出品されました。

確立された存在

1996年に北海道河西郡中札内村に相原求一朗美術館が開館し、彼の作品を展示する場が設けられました。2002年には自身の生まれ故郷である川越市に求一朗が自作を寄贈した川越市立美術館も開館し、同館内には相原求一朗記念室が設けられました。開館時には「相原求一朗の世界展 自然の詩情」が開催され、多くの人々に彼の作品が披露されました。

受賞歴

求一朗の功績は数々の受賞によっても認められています。1987年には埼玉文化賞を受賞し、1996年には川越市名誉市民の称号を得ました。彼の作品は、雪に覆われた風景や自然の移ろいを表現し、多くの人に愛されています。

代表作

彼の代表的な作品には、以下のようなものがあります：

• - 雪の停車場
• - 沃野芽ぶく
• - 緑の丘
• - 天地静寂
• - 白き神の座
• - 四月の田園

さらに、晩年には北海道の企業である六花亭社長からの依頼を受けて、「北の十名山」という連作を制作しました。この連作は、求一朗の深い自然への愛情が色濃く表現されている作品群です。

結び

相原求一朗は、彼自身の経験を通じて、冬の北海道の美しさを画に込めた洋画家として、その名を後世に残す存在となりました。彼の作品は見る者に感動を与え続けています。

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