相浦発電所

相浦発電所

相浦発電所は、長崎県佐世保市光町に所在した九州電力の石油火力発電所です。1939年に運転を開始し、長きにわたり地域の電力供給を支えてきましたが、2019年4月30日にその役割を終えました。

歴史

相浦発電所の歴史は、戦前の1939年にまで遡ります。当時の大手電力会社であった東邦電力によって建設され、運転を開始しました。1941年には日本発送電へ出資され、戦後の1951年に九州電力へと引き継がれました。

当初は石炭火力発電所として、設備の増設を重ねながら最大17万4500キロワットの出力を有していました。しかし、1977年までに石炭設備は全て廃止され、1973年からは新設備による石油火力発電所として再出発しました。

建設の経緯と所属の変遷

東邦電力は、九州北部を中心に電力供給を行っていた企業です。長崎・佐世保方面の電力需要増加に対応するため、発電所建設を計画しました。当初は共同火力発電所のみが許可される方針でしたが、佐世保地区の特殊性が考慮され、単独での新設が認められました。

1937年12月に工事が開始され、1939年12月には1号機、1940年3月には2号機が運転を開始しました。運転開始と同時に日本発送電の管理下に入り、全電力を同社へ供給しました。1941年には東邦電力から日本発送電へ出資され、正式に日本発送電所属の発電所となりました。

戦後、1951年に九州電力へと引き継がれ、2019年まで運営が続けられました。

設備構成

旧1・2号機

1939年12月と1940年3月に運転を開始した旧1・2号機は、当時としては最新の技術が導入されていました。ボイラーの高効率化やユニットシステムの採用などが特徴でした。タービン発電機は三菱重工業・三菱電機製で、出力は各3万キロワットでした。

1973年9月30日に、旧1・2号機は大容量・高効率火力発電所の出現や環境問題への配慮のため廃止されました。

旧3・4号機

1954年には3・4号機が増設され、それぞれ5万5000キロワットの出力を有していました。これらの設備も、1977年8月19日に廃止され、相浦発電所の石炭火力設備は全廃となりました。

新1号機

1973年4月28日には、石油を燃料とする新1号機が運転を開始しました。出力は37万5000キロワットで、社内初のメーカーによる据付試運転調整渡し方式や、業界初の本格的ブロック工法が導入されました。

新2号機

1976年10月1日には、新1号機よりも大型の50万キロワットの新2号機が運転を開始しました。社内初となる排煙脱硫装置を当初から装備していました。1985年には、昼夜間の需要格差に対応するため、中間負荷火力発電機への改造工事が行われ、起動時間短縮や発停可能回数の増加が実現しました。

廃止

2017年4月27日、九州電力は発電効率の低い老朽火力発電所の整理の一環として、相浦発電所を廃止すると発表しました。東日本大震災後は原子力発電所の停止により運転機会が増加したものの、川内原子力発電所再稼働後は運転日数が激減していました。2019年4月30日、相浦発電所はその長い歴史に幕を閉じました。発電設備は撤去される予定ですが、変電所や配電設備などは維持されます。

年表

1939年12月22日：東邦電力により相浦発電所運転開始（1号機）。
1940年3月26日：2号機運転開始。
1941年10月1日：日本発送電へ移管。
1951年5月1日：九州電力へ移管。
1954年3月10日：3号機運転開始。
1954年8月26日：4号機運転開始。
1973年4月28日：（新）1号機運転開始。
1973年9月30日：（旧）1・2号機廃止。
1976年10月1日：（新）2号機運転開始。
1977年8月19日：3・4号機廃止。
1985年1月28日：2号機のDSS化工事竣工。
2017年4月27日：九州電力が相浦発電所の廃止計画を発表。
2018年7月17日：九州電力が相浦発電所の廃止計画を変更。
2019年4月30日：廃止。

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