脱硫

脱硫（だつりゅう）について

脱硫とは、石油やガスといった工業分野において、製品や原料から有害な硫黄分を除去する過程を指します。このプロセスは、大気汚染を防止し、設備の腐食を抑えるために非常に重要です。

概説

脱硫プロセスに使用される設備としては、水素化脱硫装置や各種触媒、アミン吸収プロセスが一般的です。これらの技術を駆使することで、硫黄分をppmレベルにまで低減することが可能となり、このような高度な脱硫技術は高深度脱硫や超深度脱硫と呼ばれています。
燃料に硫黄分が多いと、燃焼時に硫黄酸化物が生成され、これが装置の腐食や環境汚染を引き起こします。特にガソリンエンジンにおいては、硫黄分の影響で加鉛効果が薄まり、性能が劣化する可能性があります。航空や海運業界では、このために排出ガス規制が強化されており、超低硫黄軽油などの低硫黄燃料の開発が進められています。

SOx対応とその影響

脱硫工程が重要である理由のひとつは、環境への配慮です。燃焼過程で硫黄分が含まれる化石燃料が排出する硫黄酸化物（SOx）は、ぜんそくや酸性雨を引き起こす原因となるため、その対策が必須です。

脱硫対策

脱硫対策としては、まず燃料中に含まれる硫黄分を低減することが挙げられます。石油業界では、低硫黄の原油を輸入することや、化学方法によって硫黄を除去する原油脱硫が実施されています。また、石炭に関しても、高硫黄石炭から低硫黄石炭への換装や、燃焼前の硫黄分除去技術が導入されています。

技術的手法

硫黄酸化物を低減するための技術には、水素化脱硫、高煙突化、重油脱硫、排煙脱硫などがあります。古くから行われている方法としては、悪臭の原因となるメルカプタンを酸化させ、においがしなくなる二硫化物に変えるスイートニングがありますが、最近ではほとんど全ての硫黄分を取り除く水素化脱硫が主流となっています。このプロセスは、接触改質装置の前処理としてもよく利用され、硫黄化合物や窒素化合物などの触媒毒を除去する役割も持っています。重質油における水素化脱硫法には、減圧軽油の間接脱硫法と残油の直接脱硫法があります。

日新石油は、水素化脱硫を用いてサルファーフリー（硫黄分10ppm以下）の高オクタン価ガソリンを開発し、環境大臣表彰を受賞しています。

歴史

日本での排煙脱硫装置の開発は、1960年代前半の公害問題の顕在化に伴って始まりました。当初は大型火力発電所向けの装置が中心でしたが、現在では日本国内での設置が広まっています。そして、将来的には中国や東南アジアでの需要も拡大することが予想されています。

関連項目

• - 水素化脱硫
• - フェロアロイ
• - 酸性雨
• - 脱臭
• - 石油
• - 硫黄
• - 硫黄回収装置
• - 加硫

脱硫技術は、環境保護だけでなく、エネルギー生産の質を向上させるためにも不可欠なものであり、今後もさまざまな進化が期待されます。

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