相良長続

相良長続：球磨を統一した戦国時代の知将

相良長続（さがら ながつぐ）は、室町時代後期に活躍した武将であり、相良氏の第11代当主です。分家である永留氏の出身でありながら、その卓越した軍事的手腕と政治力によって内乱を鎮め、相良氏の勢力拡大に大きく貢献しました。

生涯

長続は、相良氏の祖である相良頼親の血を引く永留実重の子として生まれました。山田城主として、文安5年（1448年）に勃発した多良木兄弟の乱において、わずか15歳の当主、相良堯頼を助け、見事反乱を鎮圧します。この功績が認められ、堯頼の死後、群臣に推されて相良氏の宗家を継承し、人吉城主となりました。

多良木兄弟の乱と長続の台頭

多良木兄弟の乱は、相良氏内部の勢力争いであり、上相良氏の多良木頼観・頼仙兄弟が堯頼に対して起こした反乱でした。堯頼は人吉城を追われましたが、長続は山田城から兵を率いて駆けつけ、頼観を打ち破り、堯頼を人吉へ復帰させようとしました。しかし、交渉は決裂し、堯頼は客死。この混乱の中、長続は相良氏の家督を継ぐことになります。

球磨統一への道

家督を継いだ長続は、再び挙兵した多良木頼観・頼仙兄弟を、卓越した戦略で打ち破ります。久米の砦に立て籠もった源島某を討ち、雀ヶ森合戦で頼観・頼仙兄弟を討ち取るという鮮やかな勝利を収めました。これにより、長きに渡り分裂していた上相良氏と下相良氏の対立は解消され、相良氏は球磨郡内の統一を初めて成し遂げました。

領土拡大と内政

球磨統一後も、長続は領土拡大と内政に力を注ぎました。宝徳元年（1449年）には、多良木兄弟に協力した桑原隠岐守の反乱を鎮圧し、宝徳3年（1451年）には、肥後国守護の菊池為邦から球磨郡を安堵され、相良氏の当主としての地位と球磨郡支配を確立しました。

また、斉木但馬守の謀反を事前に察知して鎮圧したり、長禄元年（1457年）に起こった橋本某の反乱を鎮圧するなど、領内の安定に尽力しました。長禄2年（1458年）には、島津氏の内乱鎮圧に協力したことで、牛屎院を与えられ、牛山城を獲得するなど、外交手腕も発揮しました。

晩年と応仁の乱

寛正元年（1460年）には、子の為続を連れて肥後守護菊池為邦を訪れ、葦北・水俣を安堵されました。寛正6年（1465年）には、八代の名和氏の内乱で没落した幸松丸（後の名和顕忠）を保護し、後に幸松丸から八代郡高田郷を譲り受けました。応仁元年（1467年）に応仁の乱が勃発すると、細川勝元の要請に応じて上洛しますが、病を得て帰国。翌年、58歳で死去しました。

長続の死後、相良氏は為続によって引き継がれ、戦国時代を生き抜いていくことになります。長続は、内乱を鎮圧し、球磨を統一しただけでなく、領土拡大や内政にも力を注ぎ、相良氏の基礎を築いた名将として、その名を歴史に刻んでいます。

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