相見香雨

相見香雨の生涯と業績

相見香雨（あいみこうう、1874年12月1日 - 1970年6月28日）は、実証的な美術研究を貫いた日本の美術史家であり、ジャーナリストでもありました。彼の本名は相見繁一で、96年という長い生涯を通じて、多くの美術品の調査と研究を行ったことで「在野の大立者」と称されました。

早期の教育と経歴

香雨は島根県松江に生まれ、商家である相見家の長男として育ちました。彼は白潟小学校から進取学館を経て、島根県尋常中学校に進学しました。在学中には、小泉八雲から英語を学ぶ機会も得ました。その後、東京専門学校の文学部を卒業し、1901年には故郷の新聞社「松陽新報」の編集者としてキャリアをスタートさせます。

彼の美術に対する興味が一層深まったのは、1906年ごろのことで、松江藩主・松平不昧のコレクションを扱う田島志一を手伝ったことがきっかけでした。この経験がきっかけとなり、香雨は美術研究の道へ進むことを決意します。1907年には東京に移り、美術専門出版社「審美書院」に入社し、そこで『東洋美術大観』などの教材を編集しました。

国際的な活動と功績

香雨は1910年から日英博覧会への出店のために渡欧し、ロンドン、パリ、ベルリンで数年の間滞在しました。この時期に彼は多くの美術品や文化に触れ、その知識を深めました。帰国後、審美書院の要職に就き、日本の美術館や機関の発展に寄与する数多くの美術全集を編集しました。

1923年の関東大震災後、香雨は被災した美術品の調査と目録作成に尽力し、その結果、1926年には日本美術協会に参加し、美術品の収録活動にも従事しました。また、1952年には文化財保護委員会の専門審議会委員としても活躍しました。

受章と評価

彼の地道な研究と功績は認められ、1961年には紫綬褒章と勲四等旭日小綬章を受章しました。香雨の生涯の中で、彼が書き続けた自筆の調査記録は、42帙240冊にものぼります。この資料は、現在九州大学文学部に所蔵され、彼の学問的な貢献を示す貴重な資源となっています。

最晩年

相見香雨は1970年に老衰により東京都で亡くなりました。彼の業績は日本の美術史における重要な功績として今でも高く評価されています。96年という長い生涯の中で、香雨は美術研究に捧げてきた情熱と努力を残し、後の世代の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

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