相馬大

相馬大（そうま だい）

相馬 大（そうま だい、本名：出川 光治）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の詩人、随筆家、そして国文学者です。1926年8月28日に長野県須坂市に生を受け、2011年5月23日に84歳で永眠しました。

郷里の旧制上高井農学校（現在の長野県須坂園芸高等学校）で学び、1950年に京都の立命館大学文学部日本文学科を卒業しました。大学卒業後は教育の道に進み、京都市立中学校で国語科の教鞭をとった後、京都聖母女学院短期大学に移ります。同短期大学では助教授、教授を歴任し、図書館長としても長年にわたり教育・研究活動に貢献しました。

相馬の創作活動は、詩作、随筆執筆、国文学研究と多岐にわたります。詩人としては、心の機微や日常の風景を捉えた作品を発表しました。随筆家としての活動は、特に長年暮らした京都という土地に深く根差しています。古都の歴史、伝統文化、季節の移ろい、そしてそこに息づく人々の暮らしに対する深い愛情と洞察に基づいた文章は、多くの読者を魅了しました。特に、古都の自然や風習、さらには古くから伝わるわらべ歌や子どもの遊びといった、失われつつある日本の伝統文化に関する探求は、彼の随筆における重要なテーマの一つでした。これらの著作を通じて、彼は日本の豊かな文化遺産を次世代に伝えることに尽力しました。

また、国文学者としての視点から、日本の古典文学、特に『平家物語』や『源氏物語』といった作品に対する独自の研究を進めました。物語の背景にある地理的・歴史的風土や、作品に登場する女性たちの心理描写に光を当てるなど、文学作品を多角的に読み解く視点を提供しました。小倉百人一首に詠われた女性歌人たちにも深い関心を寄せ、その研究成果を発表しています。

これらの幅広い活動の成果は、単著および共著として数多くの書籍にまとめられています。詩集から、京都の文化やわらべ歌に関する随筆、古典文学研究に至るまで、その著作は多様な分野にわたります。

主な著作

単著

『詩集 家』（高原社、1954年）
『京のわらべ唄』（白川書院、1967年）
『平家物語の風土』（白川書院、1972年）
『あるく京都 千年のみやこを訪ねて』（新声社、1975年）
『わらべうた 子どもの遊びと文化』（創元社、1976年）
『北山杉の里』（白川書院、1977年）
『花のこころ 京都』<カラー>フルール双書（光村推古書院、1977年）
『四季の草花あそび』著・墨画（サンリード、1980年）
『花の文化史』（文一総合出版、1980年）
『近江の古道』（サンブライト出版、1985年）
『源氏物語の女性たち』レグルス文庫（第三文明社、1990年）
『小倉百人一首二十一人の女流歌人』（同朋舎出版、1994年）
『ものに影 相馬大詩集』（詩画工房、1996年）
『六条院花物語 詩画集』（緑の笛豆本の会、1997年）
『相馬大詩集』新・日本現代詩文庫（土曜美術社出版販売、2003年）

共著

『日本伝承の手づくりの遊び』（藤本浩之輔共著、創元社、1972年）
『京都散歩のぉと』（神崎崇、坂本英子共著、東洋文化社、1975年）
『花のある寺 京都』（写真:小片勝敏、東洋文化社、1976年）
『草花遊び』（小片勝敏共著、保育社 カラーブックス、1977年）
『花万葉集 写真』（杉本苑子共著、浅野喜市写真、光村推古書院、1978年）
『京の古道』（横山健蔵写真、サンブライト出版、1980年）
『京洛花ごよみ』（土村清治共著、保育社 カラーブックス、1980年）
『花源氏物語 写真』（田辺聖子共著、浅野喜市写真、光村推古書院、1980年）
『花平家物語』（平岩弓枝共著、浅野喜市写真、光村推古書院、1981年）
『近江33カ所』（木本義一共著、保育社 カラーブックス、1982年）
『四季京都』（杉本苑子共著、水野克比古写真、光村推古書院、1983年）
『花まんだら京都』（田辺聖子共著、浅野喜市写真、光村推古書院、1984年）
『京の隠れ寺』（横山健蔵共著、保育社 カラーブックス、1987年）
* 『作ってあそぼう手づくりのおもちゃ』（藤本浩之輔共著、石井きよ子イラスト、創元社、1989年）

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