省 (中華民国)

中華民国における省制度の概要と変遷

中華民国は、1912年に成立し、当初からは清朝が設置した22の省がそのまま引き継がれました。しかし、国民政府の存在下で省の数は増加し、1949年には大陸から台湾に移転するまでに35省に達しました。大陸の喪失後、台湾地区内には台湾省と福建省のみが残され、現在は省という名称が名目的に存在する状況です。

省制度の歴史的背景

省制度は、漢民族の居住地域を中心に1900年代初頭に設置され、当時は内地と呼ばれていました。中華民国成立当初は地方の統治を効率的に行うための重要な行政区分でしたが、1949年以降はその状況が変わりました。

大陸からの撤退と省の変化

1949年、国共内戦に敗れた中華民国政府は台湾に移転し、その結果、実効支配する地域は台湾省の全域と辛うじて残ったいくつかの県に限られるようになりました。2018年に至るまで、台湾省政府の機能は次第に縮小され、行政院の出先機関となる運命を辿りました。

「虚省化」と「去任務化」

1997年に「中華民国憲法増修条文」が改正され、台湾省政府が地方自治機能を失うことが決定されました。この結果、省はほぼ意味を失い、中央政府の権限が強化されました。また、2018年には省政府が完全に業務を停止し、所有する権限が中央政府に移管される「去任務化」が実施されました。

現在の省制度と法律上の地位

今日においては、中華民国の法律に基づく省制度は形式的に存続していますが、実質的な機能はありません。現行の法令によれば、台湾省と福建省の名称が残っているものの、実態は中華民国政府の職責が直接所属する形になっています。このような状況下では、台湾独立を支持する声も高まり、法改正を通じて正式に省を廃止することが提案されています。

結論

中華民国の省制度は、歴史的には地方統治の重要な役割を果たしてきましたが、現在はその大半が形骸化しています。今後、このような実体のない行政区分がどのように扱われるのか、または制度改革が進められるのかに注目が集まります。

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