看護師等の人材確保の促進に関する法律

看護師等の人材確保の促進に関する法律について

看護師等の人材確保の促進に関する法律（以下「本法」）は、平成4年6月26日に成立しました。この法律は、保健師、助産師、看護師、准看護師という看護職の人材を確保するための法的枠組みを提供し、潜在的な看護職員の復職を支援することを目的としています。また、ナースセンターを中心とした看護職の育成や労働環境の整備にも取り組んでいます。

法制定の背景

本法の制定は、1990年代初頭、日本全国で深刻な看護師不足が懸念されるなかで行われました。特に、大都市において病床の増加や仕事の量が増え、看護師不足が顕著になっていました。当時、看護の職場の大半は女性であり、出産に伴う夜勤の免除と未婚者への負担の増加は既婚者の職場での継続意欲に影響を与えていました。このような状況を背景に、看護職の処遇改善や潜在看護職員の活用が必要とされるようになったのです。

法の目的と基本方針

本法の第一条では、急速な高齢化と医療環境の変化により看護師等の確保がますます重要になっていることを背景に、看護職の確保を促進する措置に関する基本指針を定めることを目的としています。それにより、地域の病院や医療機関で活動する高い専門知識を持つ看護職を確保し、国民の健康と医療の向上を図ることを目指しています。

また、厚生労働大臣は看護師等の確保を促進するための基本指針を策定する責任を負い、看護職の職場環境の改善や研修を通じた資質の向上を図ることが求められています。

看護師等の確保に対する関係者の責任

この法律は、国、地方公共団体、病院等の開設者、看護師自身、さらには国民全体に看護職の確保を進める責任を求めています。国は看護職員の養成や処遇改善に必要な施策を講じることが義務付けられ、病院等の開設者も看護師が適切な環境で専門性を発揮できるように努めなければなりません。また、看護師は自己の職務に対する自覚を持ち、専門能力の向上に努めることが期待されています。

ナースセンターの役割

本法に基づいて設置されるナースセンターは、都道府県毎に設置され、看護職の就業を促進する活動を通じて地域医療の向上を図ることを目的としています。具体的には、看護職員の雇用情報の提供や研修の機会の提供、仮に看護師等が必要とする職業指導を行う役割を担います。

各章の内容

本法は、以下のように複数の章から構成されています。
1. 総則: 基本的な規定を示す章。
2. 看護師等の人材確保の促進: 看護職員の確保に向けた具体的な施策。
3. ナースセンター: 都道府県ナースセンターと中央ナースセンターに関する規定。
4. 雑則: 施行に関する細則や附則。

結び

このように、看護師等の人材確保の促進に関する法律は、国家の保健医療制度の根幹を支える重要な法律です。看護職の確保は、質の高い医療の提供に直結するため、今後もその意義は変わることなく、さらなる改善と発展が求められています。

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