県祭り

県祭り（あがたまつり）とは

京都府宇治市で、毎年6月5日から翌6日にかけて行われる県祭り（あがたまつり）は、灯りを消した暗闇の中で行われる「暗闇祭」の一つです。宇治の平等院南門からほど近い県神社の祭礼として知られています。

祭りの概要

祭りの最大の特徴は、6月5日の深夜に行われる「梵天渡御」と呼ばれる儀式です。町内の男たちが、梵天という神輿を担ぎ、暗闇の中を練り歩きます。この間、沿道の家々は灯りを消して神輿を迎えることから、「暗闇の奇祭」と呼ばれています。東京府中の大國魂神社の例祭などとともに、暗闇祭りとして有名です。

かつては旧暦5月15日に行われ、沿道の家では男女が雑魚寝をしてお渡りを待つという風習がありました。そのため、性的行事を伴う祭りとして「種貰い祭」とも呼ばれていました。

分裂開催の背景

本来、梵天渡御は、宇治神社御旅所から県神社へ神を移し、再び宇治神社へ渡御、そして県神社で還幸祭を行うというルートで行われていました。しかし、2003年に還幸祭が行われなかったことから、神輿の担ぎ手である「県祭奉賛会」と県神社の関係が悪化。2004年からは、神社側が独自に梵天渡御を行うなど、分裂した状態での開催となっています。

2014年には奉賛会側が自粛し、神社側のみが梵天渡御を行いましたが、その後も関係改善は見られず、2015年からは再び分裂開催となっています。

この背景には、以前から存在した宇治神社と県神社の対立があると言われています。関西学院大学の調査によると、両神社の対立は1965年に表面化し、1968年には裁判にまで発展。その後、和解と対立を繰り返していました。対立の原因は、両者の祭神観の違いにあります。県神社は、木花咲耶姫命を祭神とする独立した神社であると主張していますが、宇治神社側は、県神社は宇治神社の祭神である菟道稚郎子の母神にあたる宮主矢河枝比売命を祀る末社であると主張しています。この認識の違いに加え、祭の主導権争いや金銭的な問題も、対立の原因となっているとされています。

近年の状況

近年では、祭りの分裂開催により、それぞれの団体の関係者の間では、複雑な感情が存在しています。しかし、祭りは地域の人々にとって重要な伝統行事であり、その存続を願う声も多く聞かれます。

関連情報

関連項目:
日本の祭一覧
作品:
響け! ユーフォニアム - あがた祭りが登場します。
外部リンク:
宇治観光ボランティアガイド
* 2010年 県祭り梵天渡御の動画

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