真之真石川流

真之真石川流の歴史と特徴

真之真石川流（しんのしんいしかわりゅう）は、江戸時代から明治時代にかけて発展した独自の剣術流派です。この流派は創始者の石川蔵人により、柳生新陰流の末流に位置づけられています。主に上野国南部および武蔵国児玉郡を中心に広がりを見せ、常陸国や越後国などからも学びに訪れる者が絶えませんでした。

創始者と流派の成り立ち

真之真石川流の起源に関する貴重な記録が『真之真石川流 小林庄松源天宴 起請文』として残されています。ここによれば、流派の祖である石川蔵人は柳生宗矩、すなわち柳生派の真々流を学びました。その後、彼自身の流派として成立させるために自身の氏名に改名を加え、全国各地を修行に巡ったとされています。このため、真之真石川流は17世紀前半に創始された剣術であると考えられています。

蔵人の氏族が源氏であったため、流派の継承者は「源」という名の武号を用いることが伝統となりました。最盛期には数千人にも及ぶ門人数を抱え、多くの弟子がこの流派で修練を行いました。

継承と発展

4代目の庄松（源天宴）以降、真之真石川流は北武蔵、現在の埼玉県北西部に住む農民の間で静かに伝承されてきました。しかし、この流派の使い手である四方田幸作義次は代官であり、また6代目の黒沢政八は武士といったように、必ずしも農民だけの剣術ではなかったことも興味深い点です。

天保年間、黒沢政八が設立した道場、真勇館の稽古風景を描いた絵も残されており、面胴の防具を着用して鍔付き竹刀で稽古する様子が確認できます。黒沢家は4代にわたって真勇館で門人を指導し、剣術の普及に貢献しました。

流派の消失と残された資料

残念ながら、真之真石川流は時の流れと共に失伝してしまい、その技術は現存しません。上州八木沼村の俳人・千里軒一魚の日記には、他の流派との試合である「人挙」の場面が記録されており、町の人々がその技を楽しんでいた様子が伺えます。

流派に名を冠した「柳生」や「陰」などの文字がないことから、蔵人は柳生宗矩から直接その名を授けられなかった可能性が示唆されています。この流派の伝書には、「柳生派真々流」と記されており、柳生新陰流との関係の複雑さが感じられます。

継承者たちの系譜

真之真石川流の重要な継承者としては、初代の石川蔵人政春から始まり、井上齋宮、朝倉久馬、小林庄松、黒沢政八などが名を連ねます。彼らの後を継ぐ者は各々異なる経歴を持ち、農民や武士として活躍しました。

特に四方田氏系の継承者たちも存在し、この人物たちは武道を通じて地域に貢献してきました。正確な系譜は残されているものの、適切に伝承されたかどうかの疑問も生まれています。

結論

真之真石川流は、300年以上続いた剣術流派であり、その多くの伝承や文化が途絶えた現在でも、記録や資料として残されています。剣術の歴史を遡る中で、これらの流派の存在は武道の深遠な世界と日本文化を理解するための貴重な鍵となることでしょう。

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