真如院 (前田吉徳側室)

真如院の生涯

真如院（しんにょいん）は、江戸時代の加賀藩5代藩主・前田吉徳の側室で、名は貞といいます。彼女は1707年に生まれ、1748年に亡くなるまでの43年間に様々な波乱を経験しました。真如院の父は、江戸の芝神明宮の神主・鏑木政幸であり、彼女は側室である心鏡院の姉妹や叔母といった関係にありました。

真如院は吉徳の寵愛を受け、多くの子どもたちを授かりました。享保18年には長女の総姫を出産し、続いて利和、楊姫、益姫、八十五郎の計2男3女を出産しましたが、益姫は亡くなりました。1745年、吉徳が死去すると、真如院は落飾し、真如院と名乗りました。彼女の亡き夫の後を継いだ長男の宗辰は、在位わずか1年で亡くなり、その後、次男の重熙が藩主となりました。

1748年、真如院は9歳の八十五郎の養子縁組のために江戸を出発し、金沢に向かいました。この道中の最中に、真如院は浄珠院に対する毒殺未遂事件を企てたとされ、これが大きな問題となりました。浄珠院は、藩主重熙の育ての母であり、真如院にとっては邪魔な存在であったと考えられています。事件の実行を命じたのは、真如院の付き人であり、その後逮捕された中臈の浅尾でした。

事件が発覚すると、真如院は金谷御殿の縮所に拘禁されました。同時に、江戸の居室から彼女が吉徳の寵臣・大槻伝蔵との共謀を示唆する手紙が発見され、大槻との結びつきが疑われました。藩主重熙は事件を受け、真如院と浅尾には死刑の意見が出されましたが、最終的には重熙の決断により、真如院は終身禁固とされました。

その後、真如院は金谷御殿で病にかかり、1748年に亡くなりました。彼女の最期は、長瀬五郎右衛門によって命を絶たれたと言われています。享年43年でした。また、真如院の死後、彼女の子どもたちにもさまざまな運命が待っていました。利和は金沢に移され、幽閉生活を送り、その後に早逝、八十五郎もまた同様の運命を辿りました。

真如院の動機に関しては、彼女が浄珠院を妨害するための行動をとったとの見方が広がっていますが、彼女は吉徳から特別に愛されていたため、嫉妬や陰謀の結果として陥れられた可能性も指摘されています。これらの事情から、彼女の生涯は家族や藩の権力闘争の裏で影響を受けたものでした。

参考文献

• - 『金沢市史』「通史編2 近世」「資料編3 近世1」
• - 皆森禮子『加賀前田家の母と姫』（北國新聞社出版局、2009年）

関連作品

• - 映画『武士の献立』 （2013年12月14日公開、松竹）
• - テレビドラマ『徳川おんな絵巻』（1971年　関西テレビ、演：岡田茉莉子、役名はお貞の方）

もう一度検索