着差 (競馬)

競馬における着差の解説

競馬では、着差（ちゃくさ）という概念があり、これはある馬がゴールに到達した瞬間と他の馬がゴールに到達した瞬間の距離差を馬の体を基準にして表示したものを指します。一般的には、1馬身は約2.4メートルとされています。着差には、ハナ差（約20cm）、アタマ差（約40cm）、クビ差（約80cm）などの小さな単位も使用されます。特に平地競走や障害競走において、これらの違いを明確にすることが求められますが、ばんえい競走ではこの着差は使われないのが特長です。

競馬は元々、単に時間を競うものではなく、ゴール到達の順位を競うスポーツです。そのため、競走馬同士の順位を示すために着差が使用され、到達時間の計測は他の馬との比較が必要な場合に限定されます。サラブレッドは全力で走ると時速70キロに達し、時間に直すと接戦時の差がわずか数センチであることを考慮すると、その計測の精度の重要性が浮かび上がります。

競馬のスタイルが確立された17世紀から18世紀当時、厳密な時間計測技術が未発達だったため、視覚による着差の計測が一般的でした。この習慣は現代に引き継がれ、20世紀初頭に写真判定が導入されて以降も、基本的には馬の体を基準にした表示が続いています。公式タイムは十分に計測が行われているものの、競馬の運営側が公式に発表する際には計算値であって、厳密でない場合があります。同じ公式タイムであっても、1メートル近い差が生じることもあります。

日本の競馬においては、平地や障害競走の着差は主に審判の目視によって判定され、差が微小な場合には写真判定が用いられます。この写真判定では、特別なカメラを使用して一定時間ごとのスリットの数を基準にして着差が判定されます。ただし、スリットの数はその時のスピードなどによって多少変動するため、絶対的なものではないことも特徴です。

公式記録としてのゴールは、一般に競走馬の鼻（馬体の一部）が決勝線に達した瞬間を指します。与えられる着差は、次のようにランク付けされます。

• - 同着（写真や肉眼で確認できない差）
• - ハナ差（約3スリット）
• - アタマ差（約6スリット）
• - クビ差（約12スリット）
• - 1馬身（約33スリット）など

ここで注意が必要なのは、6馬身以上の大差に関しては「大差」として一括して表示され、具体的な距離は示されないことです。

日本と海外での取り扱いには違いがあり、特に着差が11馬身以上の際には、日本ではすべて「大差」に統一されて処理されることが批判されることもあります。これは、日本における正式な記録と世界的な基準との整合性に問題をもたらす要因となります。

歴史が感じられる中、いくつかの競走馬が持つ特筆すべき着差にも注目が集まります。例えば、アメリカの競走馬であるランダルースは、1980年に開催されたレースで21馬身差で優勝し、その記録は同競馬場での最大着差とされました。

さらに、セクレタリアトという名馬は、1973年のベルモントステークスで2着馬に31馬身をつけるという驚異的な着差で勝ちました。これらの例は、着差が競馬の見どころや魅力を高める要素へと繋がっています。

競馬においては技術的進歩も受け入れられ、調教時の走破タイムはレーザー計測が用いられるなどしていますが、それでも着差を基準にした独自の文化は今なお健在です。

もう一度検索